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2025年01月31日

映画の時間「登場人物たちの同窓会かな」

今回は「踊る」のハナシだ。確認したら、細々と続いていたシネコンでの上映がちょうど昨日で終了した。ようやくこの原稿をお披露目できるタイミングになったかな、と思ったら、今度はテレビ局が大変なことになっている。
でもまぁ、作品に罪はない。この原稿を書いたのは、僕が本シリーズのオールドファンだからだ。この時期に掲載することにも他意はない。

前編(敗れざる者)からずいぶん経った12月中旬、ようやく後編にあたる「生き続ける者」を観てきた。この間に(Webや情報番組で)多くの情報が出回ってしまい、後編の輪郭やポイントが次々にネタバレした気がする。
普通の映画ならありえないことなのだが、この作品のファンたちは、何となく結末が分かっていても、ちゃんと観るのだと思う。エンディングに向けてのワクワク感とは違って、最後を見とどける気分かなぁ。
僕たちオールドファンにとっては、この作品(前編、後編)は「映画を観る」というより、むしろ「ファンの集いに参加する」みたいなことだと思う。行かないと後悔するかなぁ、まぁそんなことだ。

前編は登場人物の同窓会
前編(敗れざる者)を観に行ったのは10月の中旬、たしか公開日の3日後だった。本作は12年ぶりのシリーズ新作ということで、キー局本体だけでなく系列局も巻き込んで、再放送がバンバン流れた。
かつての「踊る」のファンたちは、たぶんあの再放送を観ていて「かつての魅力」を思い出し、惹きつけられるように劇場へ向かったのだと思う。まぁ僕たちがそんな典型だ。
前編に登場した室井さんは、歳はとったが、それなりに元気だった。あいかわらず無口だし、人との付き合いが上手じゃない。いろいろ言われっぱなしで損する様が描かれるのだが、やっぱり頑固で信念の人だなぁ、と思わせる。
コメディーのパートは意外に少ないのだが、ストーリーに挟まれる小さな「笑いのネタ」も昔と変わらない。

まるで「過去と現在」をつなぐように、登場人物たちとの再会が次々に描かれる。まぁまるで「同窓会」みたいな感じだ。例えば、空地(あきち)署の立ち番だった新米警察官たちとの再会だ。笑い担当だった警官Aは、いまでは本庁にいて、ヘリコプターで現場に登場してやっぱり笑いを誘う。
悲哀担当だった警官Bは地元に戻って刑務所長となっていて、室井さんと再会して「きりたんぽ」の話をしたりする。そして、過去の事件も現在とつながっていく。
同窓会の最後はキャリア組の新庄さんだ。すでに室井シンパの彼は、例によってぼやきながら、自分のこと、同じキャリア組の沖田さんの現在を伝える。そうやって、昔の登場人物たちの会話の中に、いわゆる「同級生たちの情報」が出てくる感じかな。
もちろん青島くんやすみれさんの情報も上手に挟まれている。このあたりのシナリオは後編へ向けての大事なプロットなのだが、実に自然なストーリーだと思う。ちなみに室井さんはウイスキー党だったんだね笑。

ハナシは室井さんの物語
さて、後編(生き続ける者)のハナシだ。事前にネタバレが多発していたのは事実だが、ここでは詳しくは書かない。というか、そもそも書いちゃダメな気がする。
後編は室井さんの物語の結末であると同時に、ファンにとっては、作品に込められたメッセージを「感じる」ことが大事なんだと思う。演者たちもそうだが、長年携わってきた脚本家や監督そしてスタッフ達が愛し続けた世界観が作品に詰まっているからだ。
前編は「過去と現在をつなぐ」と書いたが、その点で言えば、後編はこの物語が「現在から未来へとつながっていく」ことを確信させて終わる。それは室井さんの生き方にファンが納得するからだと思う。またいつか、彼ら登場人物たちが集う「未来の同窓会」を観てみたい気もする。

そういえば、孫を持つ僕は、室井さんが里親として育てたあの三人の子どもたちの後日譚がとても気になっている笑。演者の三人は頑張ったね。そうだ何よりシンペイ(秋田犬)の演技?は凄かった。グッジョブ・シンペイ。

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