ホテルの時間「浅草で遊ぶためのホテル」
今の人たちの人気の旅行先は「都市」になった。いわゆる「街旅」というやつだ。へんぴな景勝地とは違って、昼も夜も楽しそうな情報がたくさん発信されるから興味を持つのだそうだ。
東京の街がその代表だが、京都や大阪も札幌や福岡も、今どきのホテルはそんな若い旅行客がターゲットだ。だから「旅に便利なホテル」がどんどん誕生している。泊まるのに便利ではなく、街で遊ぶのに便利なホテルってことだ。
立地や手ごろな価格や快適な最新設備はもちろん、街で遊ぶ旅人(ツーリスト)にとって欲しい機能が揃っている。さらにデザイン力やユニークな企画力が加わるし、何より、出たり戻ったりと自分が好きな時に使えること(コンビニ感)が大事ということかな。
今回は、浅草で使ったそんな「遊び旅のためのホテル」のハナシだ。このブランドは主要都市に何軒もあるから、何度か書いてきたのだが、すでに若くない僕にとっても、ここは旅のテンションが高くなるホテルだ(まぁHPにそう書いてある)笑。
チェックインはあっという間に終わる。カウンターの小型端末にQRコードをかざせばペーパーが出てくる。横のカードを2枚とって紙のコードをかざせば、カードキーが出来上がる。これでチェックイン終了だ。
ロビーはどこかのお洒落なカフェのようなテイストで、壁面の棚には無料アメニティーやパジャマ(サイズは自分で選ぶ)がショップのように並んでいるから、必要ならひょいと持っていけばいい。ここのオリジナルパジャマは部屋着としては快適で、機能もデザインも秀逸だ。
フロントの一角にあるロッカースペースから、事前に預けておいたトランクを出し、エレベーターで部屋へ向かう。もちろんカードキーをかざさないとエレベーターは動かない、つまりセキュリティもしっかりしている。
予約したのが直前だったから、空いてる部屋を取るしかなかった。つまり残り物ってことだ笑。部屋タイプは「寄席ツインルーム」つまりコンセプトルームだった。寄席の高座を想起させるアイデアや演出が施されていてちょっと笑う。まぁ浅草≒寄席ってことかな。
部屋はコンパクトだが、ベッド下のトランク収納とか、可動式の鏡が便利な洗面台とか、機能はしっかりしている。ちなみに今回の(残り物の)この部屋はシャワーだけでバスタブがないタイプだった。でも最新のオーバーヘッドシャワーが併設されているのでとても快適だ。
とはいえ、こんな機会は案外少ないから、浅草で「下町の銭湯」を探すことにした。すげ~渋い銭湯が見つかって、ちょっとそそられた笑。
このホテルにはレストランもカフェもない。だから部屋が狭ければ寛げない、と普通は思うのだろうが、このホテルにはそのための施設がちゃんとある。最上階(13階)のワンフロアが24時間いつでも使えるラウンジなのだ。ソファー席もグループ席も、なんと外のテラス席もある。さらに階段を登れば屋上デッキもある。そこから観る浅草寺やスカイツリーにテンションが上がる笑。
ちなみに、散歩に疲れて帰ってきた夕方、僕たちはここでビールを買い(自動で作れる生ビール)、屋上の風に吹かれて一杯やっていた。いい時間だった。ホッピー通りよりはるかに快適だ笑。
●そんな13階ラウンジのアルバム(スライドして右へ)
僕はせっかちで部屋にじっとしていられないタイプだから、滞在中は何度も屋上へ上がり景色を眺めていた。午後から夕方そして夜へと、刻々と変わる浅草寺の表情も、雲と遊ぶようなスカイツリーも美しかった。
そういえば、13階のラウンジも時間帯によって色んな表情がある。静かな時間帯には、一人旅?の外国人女性が隅のソファーでのんびり読書をしていた。小さな子供たちが走り回る朝(というか午前中)は若いファミリーも年配客も、自由に朝ごはんを楽しんでいる。
どうやら週末の夜になれば、ここでホテル企画の「浅草落語ナイト」が開かれるようだ。プロによる本物の寄席なのかな。ホテル企画で言えば、僕たちが参加した「浅草の朝さんぽ」も起点は屋上テラスだ。
無人と書いたのはセルフという意味だが、常にスタッフたちがいて、目線を合わせながら気軽に声を掛けてくるのも特徴だ。このホテルは、浅草で遊んだ人たちが自由にくつろいだり、一方でホテルを起点に浅草の遊び方を提案しているんだと思う。
このホテル(ブランド)は一種のチェーンホテルなのだが、画一感が全くないのが好きなところだ。それは働く若いスタッフたちが「使う楽しさ」を独自にどんどん増やしていくからだと思う。
まぁ僕たちのような元気なシニアにとっても、ここは「今っぽい街旅」の新しい楽しみ方を教えてくれるホテルということかな。