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2022年04月01日

本の時間「マカロニ必殺紋次郎」

昨年の暮れあたりのことだ。もうすぐ御用納めかぁ、コロナの余波で、今年もまた長い正月休みになるんだよなぁ、と吐息をはいていた。この本を読みはじめたのは、そんな頃だった。けっして、年末年始のために選んだ本ではない。たまたまの順番だった。悪いやつをどんどん始末していくようなストーリーだから、とてもお正月には似合わない(笑)。
本のタイトルは「歌舞〇町ゲノム」。H田哲也さんの一連のシリーズ9作目の新作らしい。読み始めてすぐに小説の世界観や前作の主人公達のことを思い出した。「達」と複数で書いたのは、ある7人のチームの話だからだ。まぁ、ある種のダークヒーロー達のハナシ、ということだ。だから、刺激的で面白いのだが、ちょうど僕たちの年齢なら、ある時代劇ドラマを思い出すと思う。あの「必〇仕掛人」の初期作品のことだ(笑)。読むと、どことなく共通点を探してしまうのも、同じ年齢の人の共通項だと思う。

1章、2章と読み続けて気付いたのだが、彼らの闇のシゴト話は章ごとに完結していくようだ。読みながら必〇仕掛人のことを思い出した僕は、よせばいいのに、そっちのことが気になり始めた(笑)。そしてWebの沼へと深く入っていくことになった。小説を横に置いて、PCのキーボードをたたく日々がしばらく続くことになる。それは1972年の話だ。いまからちょうど50年前、僕たちが中学を卒業し、桜丘へ入学する年だ。
調べる途中で、テーマソングや番組映像をさかんに視聴したりして、無駄な時間が過ぎていく。もちろん、Web世界の過去の話は、真実かどうかは疑わしい。まぁ書いている人の意見に過ぎないから、うかつに信じてはいけない。だから、それに端を発したここから先も「僕の妄想のハナシ」だ。信じてはいけない(笑)。

太〇にほえろ、必〇仕掛人、木〇し紋次郎は、この頃のテレビドラマで、いずれも大ヒットした作品だから、同級生の中には僕と同じように観ていた人も多いのかもしれない。それはテレビのエンタメ作品の転換期になった作品なのだと思う。黄門様や越前様なんかが、勧善懲悪で解決する時代劇のお決まりストーリーや映像パターンは、ある意味で安心感があって健全だったのだろうが、どんどん数字が取れなくなり、制作側や代理店は「何か違う」と思い始めていたようだ。
当時の彼らが注目していたのは、その前の60年代に大ヒットした「マカロニウエスタン」映画だったフシがある。イーストウッドの荒野の7人が全米で大ヒットし、以降にどんどん制作されたイタリア版の西部劇だ。従来のハリウッド版西部劇の敵味方の設定とは違うし、主人公のキャラクター設定も違う。戦い方も、暴力シーンも結末も違う。キャスティングも音楽も全く違った考えで、スタイリッシュでクールな作品ということかなぁ。

そして登場したのがフジ系の紋次郎だ。破れた笠と泥だらけの道中合羽、ニヒルで人との関りを嫌うアウトローかな。食事も汚いし、戦い方も酷い。主題歌の「誰かが風の中で」は、番組と同様に空前のヒットになった。まぁ僕も歌ってた(笑)。
ライバルのTBSも、必〇仕掛人で参戦した。監督には深作〇二さんを起用して、手持ちカメラを多用する独特のアングルにした。当時の常識だった明るい照明ではなく、暗くて「影」をベースにした映像にしたようだ。だからカッコよかった。僕は梅安さんに惚れ込んで、原作まで読んでいたっけ。
この原稿のタイトルを「マカロニ必殺紋次郎」としたのは、こんなことを書くことにしたからだ。ちなみに七曲署に配属された速水淳(ショーケン)のキャラクターは型破りで、愛称を「マカロニ」にした理由も、このあたりと共通しているのかもしれない。

さて、「本の時間」の原稿なのに、道草ばかりしていたから、結局、この本のハナシは出てこない(笑)。まぁネタバレ厳禁だから仕方ない。必〇仕掛人にも、この本書にも「元締め」が出てくるのだが、こっちの方は「若い女性」なのだ。H田さんは女の子のキャラクターづくりがホントに上手だと思う。

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