toggle
2025年08月01日

上野の森のアート散歩

ぶらり上野恩賜公園
いまから人気の企画展を観る。もちろんこの日の入場チケットは事前にWebで確保してある。とはいえ会場の上野の森美術館にはすでにたくさんの人が並んでいた。やっぱりなぁ、入場規制かぁ、人気の企画展を舐めてはいけない笑。

チケットをお持ちの方の列はこちらで~す。最後尾にお並びくださ~い。何人かのスタッフが同じフレーズで何回も大声を上げていた。笑顔ゼロの彼らの指示に従って行儀よく列に並んだ。後ろの列も見る間に長くなっていく。もちろん右手の当日券売り場の方もすごい列だ。
これは間違いなく大河ドラマの影響かなぁ笑。老若男女が並んでいるのだが、圧倒的にシニアが多い気もする。
展示は、タイトル通り5人の浮世絵師の作品をブースごとに集めて楽しめるようになっていた。歌麿→写楽→北斎→広重→国芳、各ブースはそんな順番だ(活躍した時期の順番ということかな)。
ちなみに予告チラシには5人の名前と代表作品が並び「あなたの推しを探せ」というキャッチが付いている。今っぽいフレーズだが、そんな楽しみ方も面白いかもしれない。個人的なことを言えば、隣の家内の推しは歌麿らしい。僕は北斎や広重が推しということになる。
そういえば写真撮影はNGなのだが、ブースごとに1枚だけ撮影可のものがある。ありがた山だが、実は有名なやつということでもない笑。

いざ入場できたのだが、会場は最初のブース(歌麿)に人が滞留して、列がぜんぜん進まない感じだ。作品がどれも小さいから近くで見ようと足が止まるのかな。大河ドラマでは今のところ歌麿しか出てこないから、歌麿ファンばかりなのかもしれない笑。僕はほぼスルーして北斎ブースへ向かった。
予定通り、北斎も広重もゆっくり楽しめた。そして意外だったのは最後の国芳だった。時代が進んだ先のことだから単純に比較はできないのだが、現代に繋がるポップアートの凄さを感じて、実は一番驚いた。だからしばらくは国芳も推しってことになるかな笑。
さて、大河ドラマファンに朗報がある。ドラマで知った知識が楽しくさせるのだ。例えば「展示作品の一覧表」には作品ごとの「版元」が記載されているのだが、その中に蔦屋重三郎、鶴屋喜右衛門、西村屋与八などの「知った顔」がたくさん出てくる。まぁちょっと楽しくなるよ笑。
また、壁一面を使った長~い「浮世絵に関する年表」が掲示されているのだが、足を止めてゆっくり読んでみたりする。それぞれの絵師の人生が互いに交錯していたんだなぁ、とあらためて知ることになる。
▲五大浮世絵師展のアルバム(タップして右へ)

十分満足して外へ出てきた。まずは休憩のカフェタイムだ。冷たいカフェオレを片手に、夫婦二人のちょっとした作戦会議かな。
当初の計画では、この足で浅草千束へ行く、つまりあの吉原の跡地を訪ねてみようと思っていた。もちろん何もないのだが吉原神社だけは残っているらしい。その昔、吉原の四隅と入り口にあった計5つの稲荷神社を明治時代に合祀した神社なのだそうだ。だからあの九郎助稲荷もいるはずだ笑。
そんな、べらぼう繋がりの昨日までの計画は、この炎天下だから白紙にすることにした。もうお昼だけど、空腹でもない・・・。そんなこんなで、カフェから一番近い国立西洋美術館へ行ってみることにした。まぁ美術館のハシゴってことになる。
広い敷地のエントランス部分(前庭かな)には、いくつもの迫力ある彫刻が屋外展示されていて、何やらいい感じだった。多くのロダン作品が利用客を迎えてくれるように見えた。
まず目を引いたのは、ロダンの「考える人」だ。そして右手には「地獄の門」、中央には「カレーの市民」がある。あっちのやつはブールデルの「弓を引くヘラクレス」だ。やっぱり彫刻作品は屋外が似合うなぁ。
残り時間を気にしながら、けっこう早足で回ったのだが、ここは驚くほど充実した美術館だった。これらは松方コレクションと呼ばれるのだが、その歴史的な経緯も学べて、とても価値ある時間だった。
▲国立西洋美術館のアルバム(タップして右へ)

自分で書きながら自覚が強くなったのだが、やっぱり大河ドラマの影響というやつは計り知れない。今の時代は大河に限らず、何かをきっかけにして、あらゆるメディアが関連情報をバンバン発信する。
ほんの少しでも興味を持つと、その人は情報の沼にはまってディープなファンになり、その中には「にわか専門家」も誕生したりする。僕たちシニアに共通する特徴みたいなことだと思う。
ちなみに、近所の酒屋のオヤジさんは浮世絵の分厚い本を買ったらしい。ひと言でもその話題になれば延々と聞き役を続ける羽目になりそうだ。店へ行っても、しばらく浮世絵の話題は禁句にするしかなさそうだな笑。
そういう僕も実は危ない。感動したことはついつい誰かに言いたくなってしまう。オヤジさんを笑うのは筋違いってことだね。

Other information