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2019年03月01日

西海サーモンとアルバリーニョ

2月だというのに、とても良い天気だった。大した理由もないのだが、愛車のステアリングを握ってドライブに行こうと思い立った。目的地はふたつあるのだが、カーナビに1軒目の電話番号を打ち込んでも、該当する施設は出てこなかった。もうひとつの施設も同じで、こっちも出てこない、再びガクッと来た。クルマは決して古いわけではないから、カーナビの性能の問題だろうと、愛車を擁護してやることにした(笑)。仕方がない、近くへ行ったらグーグルマップだな。自宅から目安にする富来漁港へ向かう。さらにそこから30分ほど北上する。距離にして片道100kmくらいだ。大人のドライブ企画の下見も兼ねて、海沿いを走ろう。もうとっくに昼は過ぎたから、遅いランチになりそうだ。

久しぶりの能登有料道を快適に走った。いや違った、里山里海道路?、いや正しくは「のと里山海道」だったな。古いのはカーナビだけではなく、僕もだ。天気はいいのだが、冬の風は強くて、吹き流しが真横になびいていて、海には白い波が続いている。西山ICではなく、大昔のコトバで言えば「猫の目」で降りて、国道を使うことにした。山の中を北上することになる。帰りは海側を走ろう、気ままなドライブはそんな感じだ。山道を抜け、巌門あたりの海辺の道に入った。波もなく静かな海だ。

第一の目的地は寿司屋だ。B面企画・大人のドライブの候補地のひとつなのだが、行ったことがなかった。店名は「S海丸」、富来漁港近くにある廻る寿司屋だ。漁協がやっているらしく、ほんとに漁港の、岸壁のすぐそばにあった。途中の道では、すれ違うクルマもほとんどないし、もう遅い時刻だから、店内に客は少なかった。オーダーは今風のタッチパネルで、漁港らしさはないのだが、空腹の反動で、どんどん注文することにした。
西海サーモンという変わった名前のメニューがある。富来漁港の海の中で養殖しているトラウトサーモンで、漁協が総力を挙げてブランド化しようとしている魚らしい。トラウトサーモンは、海で養殖したニジマスのことなので、味は比較的さっぱりしていて嫌味がない。

満腹になったので再び気分よく北上することにした。次の目的地は「Hイディー・ワイナリー」、住所で言えば門前町にある地元のワイン醸造所だ。以前に氷見の寿司とワイナリー(セイズファーム)の組み合わせを企画で実施したことがある。決して同じ組み合わせを探したわけではない。たまたまのことだった。
Hイディーワイナリーのワインは、すでに金沢市内で、ちらほら見かける。すでに飲んだことがあるのだが、味の記憶はなかった。実際に訪ねてみると、想像以上に本格的にワイン醸造に取り組んでいて驚かされた。近くの2か所のブドウ畑で、計7種類のワイン専用のブドウ品種を育てているようだ。定番のメルロー、カベルネソーヴィニョン、シャルドネ、ソーヴィニョンブランなど、品ぞろえはしっかりしている。決して町おこしのお土産ワインではなかった。

ワイナリーは海を真下に見下ろす丘の上にあって、醸造設備の先の海側にはカフェがある。カフェの窓越しに海を見ながら、好みのワインのテイスティングもできるようだ。カフェ横のショップの棚にはたくさんのワインが並んでいた。値段はそこそこで、国産ワインとすれば一般的、決して安くはないから品質勝負、というやつだろう。さっそく1本、無難にソーヴィニョンブランを買ってみることにした。

自宅に戻って、もらったパンフレットを読んでみた。育てている7種類のワイン品種の中に「アルバリーニョ」があることを知った。スペイン屈指の白ワイン品種で、いま注目のぶどう品種だ。本場でも「海のワイン」と呼ばれるほど、海の影響を受ける地域で育つぶどう品種、つまり魚介料理に合うワインになるはずだ。さっき観ていたワインの中に、1種類だけアッサンブラージュ(ブレンド)として使われていたようだ。おそらくアルバリーニョの生産量は多くないのだろう。教えてくれれば、それも、もう1本買ったのになぁ。門前のワイナリーは、商売はまだ上手くないのかもしれないな。

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