おでんとデジタル温度計
地酒を楽しむ会のレポート
発起人の身としては、当日は、何とか酔わずに終わりたい。酔ってしまうと記憶が飛んでしまう。記憶が飛ぶと何を「しでかす」か分からない(笑)。そんなことも考えながら、心配になって、数字の計算していた。計算式は、720×8÷12=480。何の計算かと言えば、参加者一人一人が飲むことになる「日本酒の量」のことだ。
1本720mlの4合瓶を8種類、それを定数12人の参加者で飲むと、一人480mlということになる。つまり8種類で計3合弱だ。計画段階では6種類でいこう(これなら360mlつまり2合)と思っていたのに、今回もまた欲張って8種類にしてしまった。酒のみの人の、一晩の量とすれば、驚くほどの量ではないのだが、利き酒につられて連続で飲むと、一気飲みになって、けっこう酔ってしまう(笑)。チェイサー替わりの「お冷」を横に置いて、ゆっくり楽しむのが、まぁ唯一のルールかもしれない。
今回で3回目となった地酒を楽しむ会(旧・利き酒会)の正式タイトルは「三尾の龍と金沢おでんを楽しむ酒の会」だ。そして冬らしく「冷や」だけでなく「燗酒」も様々な温度帯で楽しむことにしている。
1時間前に店に着き、定刻前には、いつものようにセッティングを終えた。大型冷蔵庫で冷やしておいた酒を出してきて、室温になじませながら「冷やの適温」までもっていく。今回らしく言うなら、15℃くらいの涼冷え(すずびえ)だ。例の「利きちょこ」は100個以上並ぶ。まぁ今回も「見た目」だけは本格的だな(笑)。いつもと違うのは、今回だけ「お燗場」と「お燗奉行」がいることかな。デジタル温度計や通称「ちろり」という、お燗専用の道具なんかも用意してある。27期らしい「お遊び」の始まりだ。
そうこうするうちに参加者が顔を揃える。日本酒党もいれば、得意でない人もいる。今回は特別講師?として僕の師匠のT木さん(Tまき酒店)も参加してくれた。まずは、挨拶がわりに「8種類の地酒」の紹介だ。利き酒専用のテーブルマットに情報を書いておいたし、実物を手に取ることもできる。地酒の楽しみは「ラベル」を観ることから始まる。まずは、テーマの「三尾の龍」つまり、黒龍、白龍、九頭龍の3種の飲み比べ、で乾杯だ。そして、順に8種類の酒瓶を手にして、自分のちょこに入れ、並べていく。飲み始めた今のうちだよ、味の違いはすぐに分からなくなるから(笑)。
最初は、みんな無口で神妙な顔をしながらスタートする。うんうん、と唸る人もいれば、???と宙を仰ぐ人もいる。3回目だから皆んな慣れたものだ。それぞれ楽しみ方は自由だし、本人も、見守る僕もそれが楽しい(笑)。新酒しぼりたて生酒は、この時期しか出回らない。厳密に言えば、原料の米の出来は毎年違うから、その日本酒も毎年違った表情を見せる。その違いが僕たち素人に分かるわけではないのだが、気分だけは本気で味わいたい(笑)。
今回の「つまみの6品」は、けっこう面白かった。日本酒と同じように「発酵」と「熟成」をテーマに考えた6品らしい。どれもシンプルだが奥が深い。酒とつまみを少量ずつ、交互に楽しむと、地酒の旨さが引き立つ。利き酒ではなく「楽しむ会」に変更したから料理も雰囲気も大事だ。その点では、ここの「おでん」はとても楽しい。会場に運び込んだおでん鍋には定番の金沢おでん数種類、そして「蒸し器」を使った帆立や大蛤の創作おでんも旨かった。
8種類が一巡し、料理で気分を整えたら、いよいよ「燗酒」の登場だ。皆んなの希望を聞きながら、いくつかの温度帯で試していく。湯を張った鍋と、大量の氷のアイスベッドを使い、デジタル温度計を駆使して、科学や物理の実験みたいに温度をコントロールする。これはとても楽しい。でも「飲みたい酒」を「飲んでみたい温度」で自由にリクエストできるので、みんなは、てんでバラバラに注文してくる。鍋で燗したり、氷で冷やしたりと、お燗場は、バタバタになっていた(笑)。実は、おでん鍋もお燗場に置いてあり、参加者が鍋の前に来て、好きなおでんを注文する。だからお燗場は、てんてこ舞いの大忙しだった(笑)。店長が手伝ってくれて、とても助かった。
お酒は温度帯が違うと一気に味わいが変わるのも面白かったが、たとえ「飛び切り燗」の55℃に燗しても、「雪冷え」の5℃に冷やし込んでも、その「旨さ」は変わらない酒もあった。古(いにしえ)の日本人は、こんなに楽しいことをやっていたんだ、と感心していた。面白くて楽しいから、皆んなの顔が、少し赤くなってきて、目が酔っていたり、ときどき呂律が怪しかったりするが、それもご愛敬だな。最後は、おでんの出汁で作った特製の「ラーメン」を〆の一品にして、この会はお開きになった。
みんなの笑顔はいつもと同じで嬉しかったのだが、反省も多い(悲)。発起人の僕は、準備不足のお燗場でジタバタしていた。だから最初の受付のときは、怖い顔してぶっきらぼうだった気がする(笑)。みんな、ゴメン。お燗場にこもっていて、みんなとゆっくり話せなかったのも反省だ。終始、中腰で作業していたから、スクワットを続けるようなもので、翌日から腰痛が復活した(笑)。まぁ、これは笑い話だな。
みんなの評価を集計したところ、共通の「涼冷え」での一番人気の銘柄は「黒龍垂れ口」(純米吟醸)、僅差で五凛と風の森がつづく結果となった。一方で、温度帯での評価は、温度も銘柄もみんな好きに選ぶので、評価のしようがなかった(笑)。それにしても「温度」というテーマは、想像以上に楽しかったし、料理と合わせるのも面白かった。さて、次回はどんな酒の会にするかなぁ。
地酒もいいけど、ワイン会はどう?、クラフトビールもいいよね?、皆んなの意見を聞くとアイデアは広がるが、どれもコスパが悪い。つまり会費が跳ね上がる(笑)。焼酎とか、ジンやテキーラも考えようによっては面白い。でもこれだと、参加者が集まらないかもなぁ。次回も料理やアイデアとの「合わせ技」で企画するしかないか。
●最後に恒例の動画アルバム
(おまけの小話)
この日の遅く、2次会と称して、おっさん3人は、とあるBARにいた。すでにアルコール漬けなので、若いマスターがおすすめするシングルモルトを辞退して、ジントニックで喉を潤していた。地酒を温度で比較して遊んできたんだ、と酒の会のことを口にしたら、それではウイスキーでも遊びましょう、とテイスティンググラスを2個並べ、同じウイスキー(一般的な安いやつ)を、「注ぎ方を変えて」出してくれた。一方は普通なのだが、もう一方は、驚くほど口の中に味わいと香りが広がっていく。驚いた。ホントに全く違う銘柄に感じてしまう。なぜ?どこが違う?理由は?、と聞きたい僕たちに、若いマスターは、自分の腕を指さして、にっこり笑っていた。そうか、腕の違いなんだね(笑)。酒の世界はこれだから面白いんだな。
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軽井沢大会の概要メモ
●企画名は「仲間と一緒に軽井沢2020」通称・軽井沢大会
●実施日は、2020年5月23日(土)24(日)の1泊2日
●「コアタイムだけ同窓会」それ以外は「勝手気まま」なフリータイム
●基本スタイルは「現地集合・現地解散」ホテルも電車も個人で確保
軽井沢情報は「B面ニュース」に掲載中
■第1回 軽井沢大会の概要を紹介
■第2回 軽井沢のエリア紹介やアクセスのこと
■第3回 軽井沢のホテルに関する情報
■第4回 軽井沢のモデルプラン1日目
■第5回 軽井沢のモデルプラン2日目
■その他の関連情報を編集後記の「軽井沢の風景」で不定期に掲載しています。
●本日段階ではコロナウイルス関連のニュースが飛び交っています。実施日の5月後半には沈静化していると思うのですが、最悪のケース(いさぎよく中止)も視野に入れながら、状況を見守ります。