ず~っと、観ていられる
よく晴れた土曜日だった。道路の周辺には田んぼや畑がず~っと続く。高い建物など何もないから、きれいに雪化粧した「白山」がスカッと見える。この日は、辰口の「ガリビエ」を目指してクルマを走らせていた。狙っているのはガリビエの生ソーセージだ。
なんの脈絡もないのだが、急に「焚火(たきび)」がしたくなった。キャンプではなく、自宅の庭先でのささやかな焚火だ。人ごみに出てはいけないとか、閉鎖的な空間はダメだとか、とてもうるさいのに嫌気がさしたのだろう。
何年か前に、某アウトドアブランドの「焚火台」に惚れ込んで衝動買いしたことがある。僕はけっしてアウトドア志向ではないのだが、気に入ってしまった道具だ。それ以来、焚火はお気に入りのお遊びになった。特に冬は気持ちいい。
焚火は、あくまで火を焚くのだから、バーベキューとは関係ないのだが、焚火の横で、ぼ~っとしながら昼ビールでも飲もうと思った。ビールにはソーセージだ(笑)。ソーセージはガリビエに限る。こうして僕の焚火の準備は辰口へのソーセージ調達から始まった。この真ん中の白いソーセージから左側に並んでいるのが、焼くと美味しい商品です。ガリビエの奥さん?から、そう教えてもらって、4種類をゲットし、寄り道なしで自宅に戻ってきた。もちろん賞味期限1日の生ソーセージは必須だ(笑)。
この組立式の焚火台は重い。そのぶん頑丈で、簡単には壊れないぞ、という顔をしている。焚火台を一番いい位置にセットして、物置から薪と炭、そして使い古した小型のコンロを引っ張り出す。準備完了だ。コンロの炭火が落ち着いた頃がタイミングだ、生ソーセージを、そっと並べて焦がさないように焼いていく。けっこう真剣に焼いて、アツアツに注意しながらガブリと歯を立て、ポキッと折るように口に運ぶ。炭火で膨張した肉汁があふれ出す。旨い。さあビールだビールだ、と乾杯して二人ではしゃいでいた(笑)。
残り物の豚肉や旨いソーセージを食べて、ひと息ついたら、いよいよ焚火の始まりだ。キャンプファイアーじゃないから、薪を1本1本静かにくべて、火を焚いていく。使う薪は本格的なものではなく、端材を使った薄くて安物のやつだ。住宅街だから煙には気を遣う。
薪に小さな火がうつると、パチパチ、パッ、パチン、と音がする。安物の薪は、静かに燃えて、小さな炎のゆらぎが始まる。薪の香りを楽しみながら、炎をぼ~っと見つめる。時間を忘れて、ず~っと観ていられる気がする。さっきの薪が燃え尽きるころに、1本ずつくべていく。まぁ貧乏性だから、一気に入れたりはしない(笑)。また1本、また1本と、大人の火遊びの時間が過ぎていく。
ビールがワインに替わるころになって、あっと気づいた。手遅れだった。最後のソーセージは、その片面がすでに炭になっていた(悲)。あわてて取り出した焼き芋のほうは、バッチリでひと安心だ(笑)。
さぁ次は、昼寝かな。こんな、まったりした土曜日は何かのご褒美のようだ。でも、時計を見たら、もう17時だ。これじゃあ、昼寝にはならないな。これが最後と、また1本、薪をくべた。
ガリビエ charcuterie-galibier.jp