さあ姫路城へ行こう
旅の最終日のことだ。旅の残り時間を、安芸の宮島か、姫路城のどちらにするか、二者択一になった。安芸の宮島へいくのなら「秋」だろう、とオヤジギャグを言いながら、金沢から近いという理由で、姫路城を選んでしまった。平清盛に会いに行くのはまた今度だ。さあ、姫路城へ行こう。
新幹線は1時間ほどで姫路駅に着いた。何の下調べもせず、駅からタクシーで姫路城へ向かった。タクシーがロータリーから抜けるときになって、道路の正面に姫路城がそびえていることに気付いた。あとから分かったことだが、お城まではタクシーで行っても、徒歩で行っても、15分ほどの距離だった。お城の周辺の車道は渋滞していたからだ。さすがに世界遺産だな。
大きな堀の橋を渡って、大手門から入ると、そこは三の丸広場で、広い芝生の先に、いきなり姫路城がそびえていた。たしかに大迫力だ。ここから見えるのは天守閣なのかな?、周囲の旅人がそんな話をしている、僕と同じことを考えているようだ。城内へ向かう受付あたりも大混雑だった。入場券を買うにも列に並ばなければならないのか、と躊躇したとき、ふと、横の看板に気付いた。「天守閣までの時間、約2時間」そう書かれているではないか。傍にいた係員の人に確認してみたが、受付から延々と列が続くのだそうだ。ということで、あっさり帰ることにした(笑)。帰りの電車に間に合わないからだ。
タクシーの運転手さんによれば、姫路城がお色直した時に、お城の周囲も再整備されたようで、分散していた「茶店」が一か所に集まって、便利になったらしい。運転手さんお薦めの「姫路おでん」の店もそこにあった。姫路おでんは、生姜醤油で食べるのが特徴らしい。見た目はフツーのおでんなのだが、生姜が上に乗っていた。理由や由来は分からないのだが、せっかくなので、有難く食べることにした。うん、想像通り、生姜の味だ(笑)。
生姜を食べて、少し元気になった気がして、駅まで歩いて帰ることにした。電車を待つ間、駅舎の中で見つけた巨大な姫路城のジオラマを、じっと見ていた。さっきの三の丸公園から見えたのは、やはり天守閣のようだ。安心した。