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2021年09月10日

ゼットを見つけて

買い物帰りの地下駐車場の手前のほうに、1台の古いフェアレディーZが停まっていた。「Z」は若い頃の憧れの車だ。とはいえ暗い地下の照明の下にある中古車は、ちょっとくすんで見えてしまう。
2.2兆円の黒字決算のトヨタ、減収減益の決算報告をした日産、現在の明暗は明らかだ。若い頃は、誰もがトヨタ車を押す時代だったが、へそ曲がりな僕は日産党だった。技術の日産、のファンだったのだ。
フェアレディZは憧れの車、と書いたが、乗ってみたいクルマというわけではなかった。将来オトナになって、その後リタイアして、歳をとったときに、この車に乗っていられるジジイだったら、かっこいいだろうなぁ、と思っていただけだ。まぁ何となくだが、この「Z」という文字と響きがカッコよかったのだろうか。

考えてみれば、怪傑ゾロを観て育った世代だ。マスク姿の主人公が剣先で「Z」の印を付けるのは、水戸黄門の印籠と同じで、ワクワクの定番だったのだろう。オンタイムではなかったが、マジンガーZは、巨大ロボットマンガの草分けで、人間が乗って操縦する、という考え方は、後世の業界作品に多大な影響を与えたのだそうだ。「Z」は、やはり憧れの符号なのかもしれない。
この「Z」には、最後とか、究極とか、これ以上ない最高、などの意味があるらしい。昔のホンダZや、現代のBMW・Z4も、なにか関係あるのかもしれない。トヨタと共同開発したスバルのBRZなんかは、まさにこれだ。B(ボクサーエンジンの)R(後輪駆動の)Z(究極)を込めたらしい。まぁ僕が思い出す「Z」は、アニメやクルマばかりだな(笑)。いまから書くのも、ある意味でアニメの影響をうけてしまった「Z」の話だ。アニメはガンダム、そして「Z」は日本酒だ。

ある日のこと、酒屋Tの冷蔵ショーケースに並ぶ地酒のラベルに「Z」の文字を見つけた。ラベルには「作Z」と書いてある。最近のお気に入りの「作」という日本酒のシリーズだ。ちなみに作は、あえて「ざく」と読む。日本酒党の垂涎のブランドで、小さな蔵元だから入手困難な希少ブランドでもある。とはいえ、この「ザク」というコトバを耳にすると、世の中の大半の人は、あのガンダムの敵方モビルスーツのことを思い出すと思う。幸か不幸か、この日本酒は名前が先に独り歩きしてしまったようだ。
以前から三重県の酒造りは注目されていた。そんなとき伊勢志摩サミットが開催され、地元の「作」が乾杯酒のひとつとして選ばれ、世界の首脳たちに振舞われた。そんなニュースに誰かが目を付けて、それに世界中のガンダムファンが反応した、というような図式だと思う。真面目な造りの酒蔵なのでガンダムの「ザク」とは全く関係がない。この酒屋Tはずいぶん前から「作」に注目していて、最近ようやく入手できるようになった。定番の数種類の純米や純米吟醸はどれも素晴らしくて、僕はすぐにファンになった。
充実した定番品に加えて、ときどき予告なしに限定品が出荷されるらしい。つまり特約店の酒屋も知らないやつが発売されるのだ。この限定品「作Z」もまさにそれで、この在庫がなくなれば終了という酒、そんなストーリーで初登場した。先に気づくのは全国の作ファンたちで、その問い合わせで酒屋が気付く、という逆の流れらしい(笑)。面白いマーケティングだと思う。

さて、蔵元のホームページをめくったら「作」の名前の由来らしい一文があった。「出会った皆で作り上げる酒」だから、らしい。それ以上は書いてないのだが、「作」の複数形だから「作”」で、「ざく」と読むのかなぁ、まぁ僕の勝手な解釈だ。
「Z」のハナシなので、わが「Z団2016」のことを書いておこうと思ったが、文字量オーバーだ。どうでもいいがZ団にも名前の由来がある。最近間違った解釈を聴くので、いずれ弁明しなくちゃならない(笑)。それはそれでまた別の機会に。

この酒のサイト zaku.co.jp

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