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2020年04月10日

散歩の途中で「アリバイ工作に使えるかな」

ある秋の日のことだ。この日は仕事仲間と一緒だった。オッサン二人の足でも東京駅から数分で日本橋T島屋へ着く。ちょうど1年前に、日本橋T島屋が増床リニューアルして新館が生まれた。百貨店の顔ともいえる1階正面にあるのは「パン屋」だったので、ものすごく驚いていた。このパン屋は代々木八幡の人気ベーカリーで、1年たった今でも、オープンのときと同様に長蛇の列がついていた。地階のフロアも画期的な売り場で、今も若い人たちで混雑している。日本橋がシニアの街だったのは遠い昔のような気がする。銀座や渋谷と同様に、日本橋も大規模な再開発が進んでいて、毎年のように新しい商業施設がオープンし、同時に老舗が新しく生まれ変わったり、新しいコンセプトの店が誕生している。

首都高の下の乗り場を発着するクルーズ船を横目に、三越側へと横断歩道を渡るとき、富山県のアンテナショップを見つけた。かつて、都道府県のアンテナショップは、有楽町の東京交通会館に集中していて、地方の物産品や土産物などが人気だった。北海道のショップにはソフトクリームの長い列がついていたりした。東京にいながら、小さな旅ができる、そんな感じだったのだろうか。ここで土産の物産品を買えば、アリバイ工作ができるかもな、などと良からぬことを考えたオジサンは、当時たくさんいたと思う(笑)。でもレシートを見ればバレるんだけどね。その後、アンテナショップの主戦場は銀座に広がり、ご当地レストランなどを併設したタイプが増えていった。そして今、その波は日本橋にも広がっているようだ。富山以外にも、福島、奈良、三重、島根などがあって、どこもそれなりに人がいる。

富山のこの店は「日本橋とやま館」という名前で、物産品の売り場とは別に、ワークショップや日本酒バー、そして和食店が入っていた。アンテナショップは物産展型から、地域の情報発信や体験型へと進化している。長い壁面を使って、富山の地酒をずら~っと並べ、そのカウンターでお気に入りの地酒を、飲み比べしながら楽しむような提案をしていて、日本酒好きが足を止めそうな感じだった。つまみには、富山かまぼこの食べ比べとか、ほたるいか三種とかもあって、驚くほどではないが、ふと笑みがでるような感じだ。

ちなみに石川県のアンテナショップは「いしかわ百万石物語・江戸本店」、金沢市?のやつは「銀座の金沢」といって、どちらも銀座にある。詳しい情報については、同級生のH田君の方が専門家だな(笑)。銀座の金沢が入居する「キラリトギンザ」という商業施設は、独特のコンセプトで、キラキラ輝く女性?のためのショップがたくさん入居しているから、オッサンには、ちと抵抗がある施設かもしれない。レストランでは、パンケーキブームの火付け役、ホノルルのエッグスンシングスがあるし、マーサーブランチという東京らしい素敵なオールデイ・カフェもある。マーサーブランチのフレンチトーストはなかなかのツワモノで、外のテラスに座って銀座の通りを見下ろしながら、いつでも「ブランチ」を楽しむことができる。おっと、「銀座の金沢」でも食事や珈琲ブレイクができるんだったね。ごめんごめん。たまには地元から離れて、遠くから地元を眺めてみると、知らなかった新しい発見がある。そんな旅も楽しい。

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