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2025年03月13日

なかなか買えない老舗のお菓子のハナシ

世の中には、入手困難、買えたらラッキー、秒で売り切れる・・・・そんなコトバで表現されるスイーツがある。たくさんある。概ねネットで買えるようになってはいるが、できれば店を訪ねて買いたい。僕はそんなタイプだ。

善意で考えれば、作れる量が少なくて仕方がないというやつもあるし、逆に、これは明らかに話題作りのテクニックかなぁ、と疑問に感じるものもある。いわゆるバズったら、途端に人気商品の仲間入りだ。
だからすぐ諦める人と、必死に買おうとする人がいる。普通の人は概ね前者だが、後者は案外たくさんいる。そんな人たちは商品というより「人気」を買ってるような気もするな笑。
正直なところ、すぐに諦めてしまう僕だって買えたらいいなぁ、とは思うし、人気のそれを食べてみたい気はする。とはいえ僕の場合は、話題が下火になって「少し前の人気商品」になってからでも構わないんだけどね。
最近は自分の年齢のこともあって、特に「老舗のそれ」に興味を持つようになった。スマッシュヒットよりロングセラーの方かな。旅先が決まるとそんな商品を探してみたりする。

最近の例で言えば、昨年の鎌倉旅の時にジタバタした「鎌倉紅屋のクルミっこ」がこれだった。老舗の超人気商品だ。そもそもハナシは2年前の鎌倉、いわゆる下見の旅のときだ。鎌倉土産のハナシになったとき、友人の某がクルミっこの苦労談を話してくれた。
彼は横浜出張の時に「買ってきてね」と頼まれて、でも品切れで買えなくて、結局ネットのオンラインで買い、約束を果たした、そんなハナシだったと思う。まぁ優しい彼ならではのエピソードだった。
人気のお菓子だと僕も知ってはいたが、そんなすごいやつだとは思わなくて、鎌倉本店なら何とかなるだろうと、タカをくくっていた。でも違っていた。店の外の歩道に「売り切れ」のボードを抱えるスタッフが一人立っていた。尋ねたところ、本店であろうと有名百貨店の売店であろうと、開店前に並ばないと買えないそうだ笑。
だから去年の秋の本番の時は、本店ではなく春にオープンしたばかりの新店(カフェ併設の店)を訪ねた。まぁダメだろうが、もしかしたら、と思ってしまう。
新店は小町通りの脇の小路を入った奥にひっそり佇むおしゃれな建物だった。最近の老舗はブランディングが上手だ。しかし、やっぱりここでも買えなかった。もう残念を通り越して、すげ~なぁと思ってしまう。鎌倉紅屋のクルミっこは、ず~っとそんな商品なのだそうだ。

後日のこと、たまたま宿泊した横浜のホテルの下(商業施設)にも鎌倉紅屋があることを知った。ファクトリー(まぁ工場かな)とショップ(売店)そしてカフェが一緒になったタイプのお店だった。ここでも店の外に売り切れのボードを抱えたスタッフが立っていた笑。
今回こそはと「どうやったら買えるのか」を尋ねると、彼女は丁寧に対応してくれた。とはいえ開店時刻の前に並ぶことに変わりはない。やっぱりそれしかないのだ笑。ここの店名には「ファクトリー」とあるから、製造直販ということかなぁ、もしかすると買えるかも。
開店は朝10時らしいから、ホテルの部屋から降りて並んでみようか、地の利を生かすチャンスだ。朝の散歩がてらに参戦してみようかと考えた。
翌朝の開店時刻とは、商業施設のそれだった。だからぐるっと回って施設の正面玄関に向かうと、やっぱりなぁ、すでに敷地の中に20人位が並んでいるのが見えた。なので最後尾へと向かうと、その道路にも30人位が並んでいて、最後尾にはガードマンがいる。すげ~なぁ。
ちょっとした躊躇が芽生えたが、とりあえず最後尾に向かうと、そのガードマンが右手を横に指し示した。え~、と驚いた。道路の向かい側の敷地にも、さらに行列が続いている。ざっと50人位かな、つまり合計100人くらいの列なのだ。もう笑うしかなかった。

あとから知るのだが、この行列は「クルミっこの切り落とし」という特別な商品が目当てということらしい。いわばクルミっこの廉価品ということかな、販売する実店舗は限られているようで、この店はそのひとつということらしい。あの列の正体はそんな特殊事情ってことだ。
開店時刻になると施設のドアが開き、スタッフの先導で列がどんどん動いていく様を見送った。僕たちはもう並ぶことはやめたのだが、ファンの熱意というのはつくづく凄いことなんだね。
その日の午後、帰路につく僕たちは再びこのファクトリーを訪れた。この段階でも店頭には10人位の列がある。列に並んだ家内がようやくゲットしたのは、もちろんクルミっこではなく、名前がよく似た別の商品だった。
戻った自宅で箱を開けると、サクサクのパイだった。それに別添えのキャラメルソース(クルミっこに使用される濃厚なソース)を自分でかけて食べるやつだ。クルミっこぽいといえばそうかな。さて、味はともかく、大事に食べなくちゃね笑。
まぁ旅の失敗談なのだが、思い出すとそれはそれで楽しい思い出のひとつ、まぁそう思う年齢になった。

鎌倉紅屋 beniya-ajisai.co.jp

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