toggle
2020年05月08日

秘密の階段

ねぇママ、ジイジのおうちには、ひみつのかいだんが、あるんだよ。ある日、小さい方の孫が言い始めた。きっと2歳違いのお兄ちゃんが言っていることを真似しているのだ。次男坊は何でも真似をする。狭いジイジの家で「かくれんぼ」するには、そこが必要なのかもしれない(笑)。
そうだ、ジイジの家には、秘密の階段と、秘密のお部屋があるんだよ。じゃぁ、さっそく探検に行こう。そう言うと、小さい孫は、懐中電灯(玄関に置いてあったわが家の非常灯)を首から下げて、ジイジとお兄ちゃんの後に続いた。

その「ひみつのかいだん」は、2階の廊下にある。トイレの前の狭い廊下だ。そして廊下の隅には、先端にフックが付いた長い棒が置いてある。その廊下の「天井部分」に仕掛けがあって、金属製の大きな長方形のフレームが見える。その金属フレームの一部に、棒のフックをひっかけて、グイっと下に引っ張ると、フレームが斜めに大きく開いて降りてくる。斜め45度に開いた部分は、二つ折りの階段(はしご階段)だ。それをパタンと伸ばすと「ひみつのかいだん」が出来上がる(笑)。
さらに照明スイッチを入れると、階段の先が明るくなる。下からは見えないのだが、奥に何やら「秘密の部屋」があるように思える。何のことはない。大人の世界で言えば、ただの屋根裏収納庫だ。しかし、マンション暮らしの幼い孫の二人には珍しいのだろう。キラキラした目で興味津々に見上げていた。さぁ、ひみつのかいだんを登ってみよう。ひみつのおへやがあるよ。

上のお兄ちゃんが、すかさず登っていく。ジイジが後ろについていって屋根裏へ上がる。大人は腰を曲げないとだめだが、彼にとっては十分な高さだ。ジイジはいったん階段を降りて、今度は下の孫を連れていく。小さい照明は点いているのだが、孫たちは懐中電灯を点けて、奥の方へと入っていく。探検には明かりが必要なのだ(笑)。秘密の部屋には、お宝が眠っているかもしれない。
この箱は何?、これは扇風機?。それはバーベキューのコンロだよ。そっちの袋はキャンプ用のイスだ。右にあるのはキミ達のスノーボートやシャベルだ。ベビーカーもあるね。あれはプールかな、「そうめんスライダー」かもしれない。あっちには何があるの?。そうだな、奥の方はめったに使わないものばかりで、ジイジにも分からない。説明に困った。たしかに使わない百科事典のような本の束や、中身を忘れた箱などが並んでいる。古い風呂敷の包みまである。もしかすると30年前から開けてないのかもしれない。

屋根裏の隅っこには、古くて汚れた木製のイスがあった。小さいサイズで折り畳み式だ。このイスは、娘(孫たちのママ)が授業で作った工作だ。娘の力作を捨てられずに置いたままになっている(笑)。きっとこれからは孫の道具が増えていくのだろうか。一度、大掃除でもやるかな。いらないものは捨てて、スペースを空けて、小さなカーペットでも敷けば、本物の「秘密の部屋」になるかもしれない。今は危ない階段も、すぐに慣れてしまうだろう。
実は、1階のソファーの後ろの壁にも秘密の部屋?がある。見た目は「壁」だが小さなボタンがあって、それを押すと小型のドアノブが出てくる優れものだ。まぁめったに開けない物置だな。でも結構広い。使わない大工道具とか、買ったままのスキレット鍋なんかを隠してある(笑)。サッカーボールや野球のグラブ、ゴルフ用具もあるかもしれない。あぁ鉄アレイもあるはずだ。夏休みまでには片付けて、次のかくれんぼに使おう。

Other information