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2020年05月01日

ただ食べたくて「たけのこの味」

「たけかんむり」に「旬」と書いて「筍(たけのこ)」という。うまい漢字だと思う。アマタツのミニコーナーで「竹の秋」や竹の紅葉?のハナシを紹介していた。竹は、筍に栄養を取られるので、葉っぱが変色する。つまり筍の時期に紅葉するのだそうだ(笑)。まぁたしかに筍の季節になった。この時期だから食べたくなる。
フツーの人は「たけのこ」の料理というと、何を思い出すのだろうか。刺身、天ぷら、若竹煮、そして炊き込みご飯だろうか。たまに漬物とか和え物にも筍が登場したりする。たしかに美味しそうだ。金沢人なら「別所のたけのこ」かな?。例年なら、この時期は直売所に並んだり、期間営業の「たけのこフルコース」も楽しめる。今年は「表の年」なのだが、こんな世相だから難しいのかもしれない。

アクのない柔らかいのがいい、などと言われるが、それなら「水煮」でいいじゃないか、と思ったりする。僕は、あの独特の「アク」や硬い食感が嫌いなわけではない。家でのボイルの失敗も含めて、少量の「アク」の味で季節を実感することだってある。あいかわらずへそ曲がりだな(笑)。筑前煮、春巻き、青椒肉絲(チンジャオロースー)だって、たけのこ好きにはたまらない料理だ。金沢おでんもいい。それらが「旬のたけのこ」を使うのかどうかは分からないけど。
和食店のプロが作る「筍」は、やはり美味しい。春先の九州のものから始まって、そのとき最適な素材を仕入れ、特徴を生かして調理するからだ。料理人にとって、使ってみたい有名産地の高級筍もある。特に京都は有名で、中でも「白子筍」は絶品だ。知られていないが、金沢は筍の大規模産地としては「北限」なのだそうだ。つまり旬が一番遅い、ということになる。そんな理由かどうかは知らないが金沢産は加賀野菜に認定されている。

外側の皮を残したまま、豪快に丸焼きにするという調理方法がある。何年か前の春のこと、松花堂弁当を目当てに京都駅の吉兆を訪れたことがある。松花堂弁当は吉兆の代名詞だ。その焼き物の選択で、焼き筍が選べるというので注文したことがある。懐石料理の小さな焼き物を想像していたら、なんと弁当箱よりも大きな皿に、皮ごと焼いた筍が出てきて驚いたことがある。野趣あふれる料理は日本人の心を揺さぶる。
まだやったことはないのだが、庭先の七輪で、丸焼きに挑戦してみようと思う。あえて小ぶりの筍を買う。もちろん新鮮なやつじゃないとダメだろうな。外の皮を何枚か外して、先っちょを切り落とす。そして炭火で丸ごと焼く。30分ほどかかるらしい。イメージで言うと、皮の中の白い部分が、竹のエキスで蒸されるように火が通るような感じだろうか。串を刺して確認したら、豪快に半割りにする。熱々に醤油を振っても旨いだろうし、炭火の直火で表面をこがすのも良いかもしれない。あぁ食べたくなってきた(笑)。

ちなみに、筍には「朝掘り」と「宵掘り(夕掘り)」があるらしい。イメージで言うと朝掘りの方が新鮮な気がするが、地域によって違うものらしい。農家は「セリ」にあわせて収穫する。このセリの時刻が地域によって違うのだ。地域によっては早朝のセリには前日に収穫した筍の場合もあるのかな。そんな地域は午後のセリにでてくる「夕掘り」の方が鮮度がいい、ということになる。ややこしいから、専門家に聞く方がいいんだろうね。

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