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2022年10月29日

散歩の途中で「10月の小さな秋を探そう」

自宅の近く(海に近い住宅街だ)にも秋がやってきた。いつもの散歩ルートを歩くと、足元でサクサクと音がする。桜並木は色づいて、枯れ葉が大量に落ちているからだ。表通りのイチョウ並木も、いつの間にか緑から黄色に変わっている。桜並木もイチョウ並木も、色のグラデーションがきれいだ。
少し風が強いのだが、赤とんぼの大群が風に乗って遊んでいる。見とれていると、足元に落ちている「ぎんなん」を踏んでしまいそうになるから要注意だ。まだ10月だが、晴れた朝に、秋の気配を探す散歩は楽しい。

さて、来週の平日に休みがとれたというので、夫婦ふたりで小さな旅に出ることにした。急なことだったが、簡単にホテルの予約がとれた。とはいっても旅の目的地は「金沢」で、予約したホテルは「竪町」にある笑。
まぁちょっとした「観光客ごっこ」をしながら、金沢の裏道なんかを歩こうと思う。金沢へ向かう観光客だとすれば、立派なリピーターだから、行ったことのない場所や、小路を歩きたいし、懐かしい店を訪ねて今昔を楽しむのもいいかもしれない。シニアのふたりにとっては、そんな秋の金沢散歩、というのは魅力的なフレーズだった。旅だから、いつもの旅グッズを小さなトランクに詰めて、松任駅から電車で金沢へ向かった。

金沢駅からタクシーに乗ろうと思っていた。でも、旅なんだから金沢駅からバスに乗れ、とパートナーは言う笑。でも、あの行列に並んで満員バスに揺られるのにも抵抗がある。シニアのリピーターはちょっと弱腰なのだ。
ホテルに荷物を預けて(とはいえ、ここは無料のコインロッカーなんだけど)、さっそく街歩きに向かった。ランチの予約時間まで少し歩こうと思う。まずは兼六園あたりで秋を探すつもりだった。
意外なことに柿木畠で盛り上がった笑。むかし通った「お店の看板」を見つけると思い出がよみがえる。広坂パレスの横に真新しい「のれん」を見つけて立ち止まった。きくのや旅館ののれんだった。まだ元気に存続していたのがなぜか嬉しかったりする。北京も、もっきりやも健在のようだが、あの寿司屋はなくなっていた。新しい店の看板を見つけると、ここはかつて〇〇だったなぁ、などと年寄りの記憶自慢を繰り返していた。秋の観光のはずなのに、これでは「思い出探し」の散歩だ笑。
二十一美の広場、そして兼六園や城址公園まで足を延ばしたのだが、秋の気配はあまり見つからない。松任には紅葉があるのに、金沢はまだなのかもしれない。とくに兼六園に「秋色」がないのには、ちょっと驚いていた。まだ1~2週ほど早かったのだ。

ひがし茶屋街や主計町は外せないから、午後もぶらぶらすることにした。やはり秋の写真は撮れないのだが、替りに「お店の看板」ばかりに目が行ってしまう笑。懐かしい「みふく」の看板を見つけて、今年こそは食べに来よう、などと冬の予定を入れたりした。
橋場町の「今どきのホテル」のカフェで一服しながら、観光客ぶって加賀棒茶を飲んだりしてみる笑。そして、わざと大樋焼美術館へ行ってみることにした。いつだったか楽焼(楽家の歴代当主が一子相伝で受け継ぐ独特の焼き物)に興味を持ったことがあって、大樋焼のルーツに関係していることを知った。まぁそんなことを思い出して「せっかくだから」と初めて訪れることにしたのだ。
とはいえ茶の湯は門外漢だし、焼き物についても素人同様だから、作品の解説ボードを頼りにするような時間だ。さっきの兼六園や二十一美にいた修学旅行生と、鑑賞態度は変わらないかもしれない笑。でもまぁ、これも旅かな。

太陽は少し低くなって、影が長くなった気がする。ホテルに戻る道すがら、しいのき緑地の横の並木が色づいていた。ようやく秋を見つけた感じだ笑。どうやら観光マップでは「アメリカ楓通り」という場所なのだそうだ。なんとか写真も撮れたし、歩き疲れたから、ホテルでちょっと休憩だ。
竪町にひっそりオープンしたこのホテルのロビーには、とても面白いボードが掛かっている。ご近所マップというベタな名前の大きな掲示ボードで、簡単に言えばホテル周辺の「街歩き」とか「ご当地グルメ」のスポットがプロットしてあるのだ。でもじっくり見ると、とてもディープな情報がメモされている。タウン誌や観光ガイドにで出てこないような店やポイントが、たくさん載っていてとても面白い。どうやら、この情報はホテルの若いスタッフたちが、実際に歩いて、見つけて、その店主に取材した内容なのだそうだ。
夕方になると、ロビーの隅では「加賀棒茶の利き比べ」の講座と実演をやっている。奥のカフェでは「落雁づくり体験」の最中だ。実はボードにあるスポットを、スタッフと一緒に実際に歩いて回るガイドツアーもある。このホテルが宿泊客に提案するアクティビティーは、いちいちそんな感じなのだ笑。驚くのは、それに参加する若い女性たちが多くて、この日は平日なのに、どれも定員に達してしまっていることだ。イマドキの若者の旅の楽しみ方は、シニアのそれとは大きく違うのだ。
さぁ今夜は、観光のリピーターらしく、金沢の夜を堪能しようと思う。でも食べたいものは思いつかない笑。まぁ冷えてきたから、金沢おでんでも食べてみようかな。

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