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2020年07月10日

ビーカーが付いた日本酒

外出自粛のころからだろうか、あるとき、気まぐれのように料理を作り始めた。とは言っても、以前のように「誰かに食べさせたい」と思って本気で立ち向かうやつではない。流行りの「アレンジレシピ」みたいなお遊びだ。僕の発想だから、ほとんど「実験」みたいなものに似ている。
本格的にやるなら、材料も調味料も本気で揃えるのだが、お遊びの実験の場合は、テキトーな材料で間に合わせるし、作る最中に料理の最終形が変わる。なにより「これを、あれに替えてみる」とか「これを加えたら旨いかも」という発想が最大の失敗リスクだ(笑)。もちろん目指しているのは、旨い、すごい、成功だ、という賛辞なのだが、そうそう上手くいかない。正直なところ失敗ばかりだ。でも家内は、意外なことに、料理しなよと、けしかける。たとえ不味くても、それはそれで楽しいらしい。

今日は、旨いお好み焼きが食べたくなってチャレンジすることにした。きっかけは、名人が作る広島焼きだった。そこに、受験の頃に僕が作っていた夜食のお好み焼きを思い出したり、昔食べた「ぼてじゅう」のスペシャルだったか、デラックスだったか、まぁそんなやつもいいなぁ、と迷っていって、方針もなく調理が始まった(笑)。
いろいろ工夫してみたが、結局はキャベツの量に失敗して、ひっくり返すと爆発するような、キャベツの蒸し焼きが出来上がった(笑)。それを台所に立ったまま、焼きたてを「立ち食い」する。立ち食いは面白いのだが、味はムムムだ。それに「海老とキャベツの豚玉」と名付けてみたが、まぁ失敗だな(笑)。
先日の、鯵(アジ)と新玉ねぎのトマトソース(パスタ)は、それなりに上手くいったが、色彩感覚は最低だった。何より、なぜ鯵を使ったのか、もはや不明だ(笑)。次は、究極のフレンチトーストを作ろうと思うのだが、夕食には反対される可能性が高い。

ある日、地酒の師匠から、ダイレクトメール(往復はがき)が届いた。しばしば行くから、そんなもの送る必要もないのに、と思って見てみたら、ある意味「実験的な日本酒」のお知らせと予約販売の注文書だった。2種類の低精米の日本酒を、飲む人がブレンドしながら楽しむという、あり得ないような商品だ。正しくは、そんなアイデア溢れる日本酒を開発した、ある蔵元の商品だった。ブランド名は「風の森ALPHA TYPE-7」、前回の利き酒会のときにも登場したシリーズの新作だ。
買いに行って驚いた。4合瓶2本セットなのだが、なんと「ビーカー」が付いている。理科室にあったあれだ(笑)。それぞれに味を楽しんだ後は、このビーカーを使って、10cc単位で、好きにブレンドして自分好みの配合を見つける趣向らしい。僕の料理は思いつきの実験だが、こっちは本気の実験のようだ。
一本はLIGHT、もう一本はFULLと名前が付いている。発酵由来の炭酸ガスが残っていて、封を開けるとき中栓(ワインで言えばコルク部分)がポンっと抜けて、天井まで飛び、とても驚かされた。2~3日で炭酸は抜けて、本来の特徴が出てくる。さっそく、アレコレ計量して試したみたのだが、基準がなくて決められない(笑)。でも確かなことは、面白がると、どんどん酔いが回って潰れる、ということかな(笑)。どんな実験にもリスクは付き物だ。
この蔵元 yucho-sake.jp/kazenomori

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