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2023年04月14日

メインがふたつのワンプレート

今回も映画にまつわる話を届けようと思う。例によって映画の本編を語るとネタバレになるから、あくまで「まつわるハナシ」に過ぎない。ちなみに、この映画を観て、原稿を書いたのはずいぶん前のことだ。わざと掲載を「遅いくらい」にしようと思っていたら、ホントに遅くなってしまった。上映は終わってしまったようだ笑。
さて、あの日の夕方、僕たちは自宅近くのイオン白山にいた。映画の上映時刻まで、ずいぶん時間があるから、ちょっとした暇つぶしが必要だった。とはいえ、このモールには何度も来たことがあるから、もはや行きたい店がある訳じゃない。今夜の映画の上映時間は3時間もあるらしく、見終わった後の夕食となると遅すぎる、などと理由をつけて、早めに食事を済まそうと思っていた。でもまだ16時過ぎだから、どっちみち中途半端だ。少し歩いてお腹を減らそう笑。
ユニクロで靴下を買ったり、TUTAYAで文庫本を探したり、久世福で面白そうな食べものを物色しながら、プラプラするしかなかった。僕たちは歩きながらのボケやツッコミの雑談も多いのだが、まぁ二人暮らしの老夫婦の日常はそんな感じだ。

夕食に選んだ店は、去年の暮れにオープンしたばかりの洋食レストランで、店頭には「世界一のクリームコロッケを目指す」と書いてある。まぁ目指して頑張ってる、という意味なのだと思う。クリームコロッケの専門店なのかなぁ?、そんなコトバ(キャッチフレーズ)にちょっとした期待を抱いたのか、家内の押しでこの店を選ぶことになった。今日はクリームコロッケの気分なのだそうだ笑。たしかに旨いクリームコロッケは無敵だ。
メニューの数は多くないのだが、どうやら洋食の代表メニューに自慢のクリームコロッケがセットになったやつばかりのようだ。僕が注文したのはシチューハンバーグに蟹クリームコロッケが付いたワンプレートだった。まぁハンバーグは洋食の王者だ。なるほど、主役級がふたつ一緒に乗ってるから、ちょっと美味しそうだ。
ハンバーグは肉々しい触感で食べ応えがあるし、自慢?の蟹クリームコロッケは中にも上にも蟹身をたっぷり使って、華やかでご馳走感がある。バーグは男性的で蟹コロは女性的、そう見えないこともないかな。まぁ夫婦二人のそれと同じで、微笑ましい組み合わせだ。

この日、観に来たのは映画レジェ〇ド&バタ〇ライだ。まぁ事前の宣伝広告は凄かったから、タイトルが誰と誰なのかも、役者が誰なのかも説明する必要はないと思う。満を持しての公開だから、ものすごい混雑をイメージしていたのだが、夕方ってのは、観客はまばらで空席ばかりの時間帯らしい。そういえば、この6番スクリーンはコンパクトで小さなスペースだ。3時間の大作なのにゆっくり観ることができた。
本編の時間軸は二人が夫婦になった頃から本能寺の変あたりまでだ。冒頭から映像の美しさや音楽の迫力が半端なくて、ぐいぐい引き込まれる。国宝や重要文化財級の史跡(法隆寺、神護寺、仁和寺、岐阜城、彦根城・・・)をふんだんにロケ地にしていて、史跡好きにはたまらないだろうと思う。本物には独特の説得力がある。
テレビ各局の番宣ではキ〇タクが大活躍していたが、映画タイトルの「&」にはやはり意味がある。制作陣の描くこの物語では、N姫のキャラが際立っていた。演者である彼女のアクションや存在感は素晴らしくて、思わず「バルサ」を思い出していた笑。サッカーのことではなく、あの単槍づかいの「女用心棒バルサ」のことだ。同時期のあの「女暗殺者」もそうだが、スピーディーな動きも切れも健在だった。

予告編でも描かれた夫婦二人のアクションシーンも見どころらしい(まぁ夫婦喧嘩のシーンだけど笑)。時代劇の定石通りの場面、つまり血がば~っと飛び散るシーンもあって本格的なのだが、見終わった後に心に残るのは全く別のシーンばかりだ。物語は400年以上前の戦国時代だが、戦争映画ではなく、現代にも通じる人間としての「普遍的なこと」を描こうとしているらしい。それは夫婦のことだ、なるほど。
メインがふたつ乗ったワンプレート「バーグ&蟹コロ」のことを添えたのは、まぁ僕もそんな気がするからだ。

後日談だが、実はこの原稿の存在を忘れかけていた。最近の彼は「風間公親だ」と名乗っているのだが、そんなシーンを観て、この原稿のことを思い出した。あぶね~、また没ネタにするところだった笑。

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