たばこに関する小話「スモーキン・ブギ」
クラス会の会場を禁煙にするか喫煙にするかは、クラス幹事に一任している。よってほとんど禁煙になる。だから会場側の居酒屋は、煙草を吸う人たちのために「喫煙スペース」を用意してくれる。昨年も個室をひとつ、まるまる喫煙所に開放してくれた店もあった。
煙草を吸う人たちは「こんなに高額の税金を払う国民をないがしろにしやがって」と会話するのがアルアルだ。しかしもはや禁煙が常識になった。一流ホテルもレストランもほとんどが禁煙になった。今まで煙草を吸ってた仲間がどんどん禁煙していく。世界的な常識だから仕方ない、喫煙者はもうすぐ「世界遺産」になるのだろう。
一方で喫煙者のための「喫煙ルーム」は商業施設の常識となった。最近ではGINZA-SIXの喫煙ルームは出色の出来だ。煙草を愛する者は、どんなに禁煙の施設にいようが、独特の嗅覚やセンスで喫煙所を見つける。「あのあたりにありそうだ」とほぼ100%見つける、見事なものだ。ハワイへ行く際も旅行関係者からは「ハワイでは煙草は吸えない」とさんざん釘を刺されたが、全く困らなかった。現地のロコ達にも喫煙者がいるからだ。少数派となった故に「喫煙場所」は共通言語なのかもしれない。
初めて試したたばこはハイライトだった。親父が吸っていたからだ。当時は煙草がカッコよかった。ハンフリーボガードがカサブランカの中で、言い寄るイングリットバーグマンに「そんな先のことはわからない」と言ったとき、煙草を吸っていた(ような気がする)からかな。とにかくハードボイルドにタバコがつき物だったのは間違いない。
小説の世界とは関係ないが、味噌ラーメンとショートホープは、世界最強の組み合わせだ、と今でも思っている。バーのカウンターならロックグラスを握る指には煙草が似合う。いつの日か、今度は禁酒がブームになるのだろうか。そしたら僕はアルカポネにあこがれるのかもしれない。