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2023年06月09日

散歩の途中で「行列とサマートリュフ」

今回は、百万石まつり当日のことを書くのだが、いろいろ見込み違いがあって、行列のことは少ししか出てこない笑。結局のところ、どこかの老夫婦のささやかな散歩のハナシになった。

どういう風の吹き回しか、百万石行列を観に行こうと思い立った。とくに理由がある訳でなない、ただ何となくだ。たぶん同級生たちは、もはや観にいかないと思う。昔と違って土曜日だから行ってみようかなぁ、まぁそんな感じだ。数えてみたら、もう40年近く「本物」を観たことがなかった。
ちなみに、観たくなったのは百万石まつりではなく、あくまで「行列」のほうだ。まぁ、あの加賀とびの演技だけは少し興味があるかなぁ。だから「ちょっとだけ」観る位がちょうどいい。
個人的な気分で言えば、夫婦ふたりの「いつもの金沢散歩」のノリと変わらないし、せっかく金沢市内へ向かうから、どこかで食事くらいは楽しみたい。もしかすると人混みを嫌って、帰ることになるかもしれない。だから行列の優先順位は、さほど高いわけでなない笑。
4年ぶり?の開催ということだから、沿道はきっと混むんだろうなぁ。どうやら僕は、出かける前から腰が引けてる感じだった。

人混みを避けて、昼前に金沢駅に着いた。尾張町までプラプラ散歩して、お気に入りの店でゆっくりランチを楽しんで、その後に武蔵が辻あたりで行列を観るつもりだ。
意外かもしれないが、土曜日なのに予約はしてなかった。かつて業界人だったから知っているのだが、百万石祭り当日のレストランというのは、どこも静かなのだ。人出がすごいのは間違いないから、たぶん飲食店は混雑すると、みんな思い込んでると思う。実際は、ほとんどの人は行列を観て帰るだけなのだ。だから昼も夜も飲食店は静かで予約の必要もない笑。
さて、この店のランチはコース仕立てだった。しかし、コースなのだが前菜もピッツァ・パスタも、メインそしてドルチェも、全ての料理が5~6種類のリストから選べる。自分なりの好きなメニューを組み合わせるスタイルだ。ちなみに違うパスタ2種類なら、小さくシェアして一皿で出てくる。
僕たち2人は、わざと別々の料理にしてたくさんの種類を楽しむことにした。料理はどれも本格的なイタリアンなのだが、パスタのリストに「サマートリュフ」を見つけて、ちょっとテンションが上がった。サマートリュフのパスタだから、麺はおそらくタリヤン(細めの平打ち卵麺)だったと思う(覚えてない笑)が、とにかくたっぷりのトリュフを乗せたぜいたくなパスタだった、これが、さすがに旨いのだ。

なるべくゆっくり食べて、珈琲を飲みながら、店のママと一緒に行列談議(まぁ大昔のハナシばかりだ)に花を咲かせたのだが、時刻はまだ13時、行列が武蔵が辻に来るのはまだまだ後のようだ。仕方がないから、このまま散歩に出ることにした。目指すゴールは、行列と同じ金沢城公園(三の丸広場)だ。
意外に静かな近江町を抜け、尾山神社へと裏通りを歩いた。神門正面の参道には屋台がたくさん出ていて、ひときわ人が多かった。後から分かるのだが、ここの人口密度が一番高かった。カップルや高校生の人気スポットなのかもしれない。
神社の庭園を観ていて、ふと高校時代を思い出し、池の上の丘を歩くことにした。小鳥のさえずりが聞こえる緑の遊歩道なのは当時のままだが、記憶のかけらは、やっぱり見つからないものだ笑。
鼠多門から玉泉丸庭園へと散歩を続けた。石垣をゆっくり観ながら登る階段あたりは、なぜか涼しくて不思議な感覚になる。少し休みたくて橋爪門近くのカフェ(鶴の丸休憩館?にある)を探した。この辺りは一度も来たことがない。

豆皿茶屋という名前のおしゃれなカフェだった。目の前に芝生が広がり、新築の橋爪門が鎮座している。なかなか見ごたえがあっていい場所だ。まぁ人が少なくて静かなのが一番いいかな笑。
三の丸広場に着いたのは14時半くらいだ。ここが行列のゴールなのだが、あまり観客は多くない。たぶんリハーサルの最中なのだろう、スタッフばかりだ。でも、どうしたものかなぁ、行列が到着するのはずいぶん後のことになる。こんなところで待つわけにもいかないので、これで老夫婦の今日の散歩は終了だ。
とはいえ金沢駅に向かうには歩くしかないのかなぁ。帰り道を調べたら、どうやら来た道が最短ルートらしい、仕方がないが来た道を戻ろう。尾山神社辺りから沿道を歩けば、行列のどれか一部を観れるかもしれない。

想像通り、南町あたりで音楽隊に出会った。ん?、これは行列のほぼ先頭だよなぁ、ということは、このまま駅に向かって歩けば、ほとんどの演目とすれ違うことになる笑。ラッキーなことに沿道は思ったより混んでないから、スムーズに歩けそうだ。
結局、武蔵が辻交差点で、お目当ての加賀とび(はしご登り)のパフォーマンスを観ることができた。行列は、想像よりはるかにゆっくり進むのだ笑。
武蔵から金沢駅までの広い通り(金沢駅通りというらしい)は中央分離帯を挟んで一方は行列、反対車線は歩行者天国になっていた。玉姫やお松の方とすれ違い、右團次さんの利家に会ったのはリファーレ前あたりだ。主役は、ついさっき出発したばかりなのだ。待ち時間はさぞかし長かったんだろう笑。
沿道の人垣は一重だけで、どこでも写真が撮れるのだが、お松の方は報道用のカメラの方を向いていて、僕の位置からは後ろ姿しか撮れない笑。利家さんはサービス精神旺盛で、縦横無尽に笑顔を振り舞いていた。

利家さんの一団(赤母衣衆?)の後ろはパトカーだ。どうやらこれが行列の最後尾だ。主催者発表によれば、この日の来場者は39万人だったらしい。この日の僕たちは、ほぼ散歩していただけなのだが、帰路にようやく、その数字に加わったことになる。まぁ39万分の2だけど笑。
でもまぁ、体験したから思うのだが、行列を観たいのなら、テレビが一番いいに決まってるよなぁ。必死に帰路を急ぐ来場者たちにもまれながら、駅構内へと向かった。まぁこんな僕にとっては、あのサマートリュフが、今日一番の収穫だ笑。

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