散歩の途中で「昼とは真逆、往年の繁華街」
赤坂見附、紀尾井町、永田町
もう夕方16時くらいだったと思う。久しぶりの赤坂だった。赤坂と書いたが、今いるのは赤坂見付なので、地図でいえば赤坂の端っこだ。道路の向こう側は永田町だし、交差点の向こう(北側)の緑の森のあたりはニューオータニ、つまり紀尾井町だ。そういえばあの赤坂プリンスホテルも、かつてそこにあった。どっちのホテルも泊まったことはないのだが、バーやラウンジあたりは行った記憶がある。
まだ30代初めの若造だったころ、しばしば通った勉強会の会場が青山1丁目近くで、赤坂見附あたりのビジネスホテルを当時は使っていたような気がする。六本木も銀座も、新宿や渋谷へも、当時の若造にとっては移動に便利な場所だったからだと思う。でも動いたのは夜ばかりで、昼に街を歩いたことはなかった。今日は夕食の予約まで時間もあるから、ゆっくり歩いてみようと思う。
ちなみに今日のホテルは一ツ木通りにある。そこから出てきたばかりだ。さっきまでいた東京駅周辺に比べれば人は少ないし静かだ。まぁ僕たちにはこっちの方が似合いそうだ。さぁ赤坂散歩を始めよう。
赤坂見付の大きな交差点を渡ると小さな橋があった。弁慶橋?と書いてある。橋の下の堀(弁慶濠?)にはなぜか釣り堀があって、なんとなく微笑ましくて素朴な風情だ。後ろの崖の上の緑がニューオータニの日本庭園ということだと思う。
横のゆるやかな坂道の右手はガーデンテラス紀尾井町(元の赤坂プリンス)、左手にニューオータニ、そして先に進めば上智大学のキャンパスのようだ。紀尾井町は、紀州徳川家、尾張徳川家、井伊家の中屋敷があったことから、その3文字をとった地名らしい。敷地が広いのは納得だ。
ニューオータニはホテルだが、ある意味で「巨大な街」だ。さっそく1階にはロールスロイスの販売ショールームがある笑。クラシックなエントランスから入ってフロア図(館内の案内看板)を見つけ、有名な日本庭園へ向かった。
庭園には小さな水路や散策路が何本かあって誰でも歩けるようになっている。途中に大きな滝まである本格的な庭園だ。滝の水量や迫力は驚くほどだった。やっぱり鯉もいる。昔の大名屋敷ってこんな感じだったのかなぁ笑。
この庭園も、それに続くフロアも、いわゆる披露宴会場で、何組もの新郎新婦や着飾った参列者がたくさんいる。まぁちょっと場違いな雰囲気もあるので、早々に退散することにした。ニューオータニはさすがに古さは否めないが、とても広くて、館内を歩くだけで、いろいろ疲れる。
向かいのガーデンテラス紀尾井町は、一転して現代的な施設だ(あの赤プリの痕跡は全くないように見える)。エントランスのオブジェや風を感じるテラスが気持ちいい。ここでちょっと珈琲タイムだ。QRコードを読み込んで注文し、会計はキャッシュレス、まぁ今どきの素敵なカフェだった。利用客の年齢は意外なほど高かった。やっぱりこの辺りは大人の街なのかもしれない。
ひと息ついて、今度は永田町側の日枝神社(山王日枝神社)へ向かった。あの家康さんが創建に関わったようだから由緒ある、とても立派な神社だ。高層ビルの谷間に大きな鳥居が立っていて、丘の上の本殿まで長いエスカレータで登っていく。たまたま山王祭(江戸三大祭)の期間中らしいが、この時刻は静かだった。
そういえば、神社の手前の立派なビル(外資系保険会社Pのビル)の広い敷地は、たしかあのホテルニュージャパンの跡地だったことを思い出した。そんな話はもう僕たちの世代にしか通じないが、往年の繁華街・赤坂の歴史の一面だ。
このまま進めば、山王パークタワー、そして首相官邸ってことになるが、そんなエリアを散歩したい訳じゃない。やましい気持ちは全くないが、たくさんの警察官と目が合うと、なぜか落ち付かない笑。
再び赤坂の一ツ木通りを通って、赤坂サカス方向へと向かった。知っている店がポツポツあって、50代になった頃から、しばしば歩くようになった道だ。まぁ僕にとっての赤坂は「美食の街」みたいなイメージかもしれない。
赤坂見付には、かつて向田邦子さんの「ままや」という店があって(もう閉店した)それを探しに来たことがある。初めて游玄亭を使ったのも赤坂店だし、当時ハシリだったタパスの専門店とか、有名な京都焼肉の名店をなぜか赤坂で楽しんだこともあったなぁ。
散歩のゴールの赤坂サカスに着いた。ここはご存じのようにTBSの城下町だ。ここだけ若い人たちがたくさんいる。若い街にはやっぱり興味があるからアチコチ歩いてみることにした。やっぱりここもテナントがずいぶん入れ替わっている。コロナは新陳代謝を促したんだと思う。
今はハリーポッターグッズのショップ(物販店)とか、そのカフェが共に人気で人があふれていた(できた当時はSMAPの店が人気だったけど笑)。物販の方は入店制限していて予約しないと入れないようだ。すげえなぁ。
ちなみに、トイレに行ったら、やたらと「黒のロングコート」の若い人がいる。よく見ると、それはフォグワーツの、あのマント(寮生のローブ)だ笑。みんな、さっきの店で買って、ここのトイレで着替えるのかなぁ。
後からショップを覗いたら裏地が「赤」のやつと「緑」のやつが売られていた。グリフィンドールとスリザリンということかな。まぁその値段を知ったら、きっと皆んな驚くよ笑。