ローカル線の「乗り継ぎ」を楽しむには
まさか車で向かうわけにはいかない。待ち合わせの小淵沢(山梨)まで片道300km以上ある。早朝スタートのそんな長距離運転はもうしんどい。電車でのんびり向かうのがいい。まぁそんな年齢だ。
とはいえ、せっかくの信州縦断の旅だから、少し手前の松本あたりで電車を降りて、残りの道をレンタカーでドライブするのもいいかなぁ。いや、せめて泊まるホテルの近隣をドライブするというのはどうだろう。八ヶ岳はきっときれいだ・・・。
そんなことを考えはじめて、ドライブ旅用のガイドブックを買った。それは「るるぶ信州」というやつで、ようするに広域をカバーしているタイプだ(逆に有名観光地の詳細情報は少なくなるのかな)。
広域地図だから長野にも山梨にも、知ってる地名がたくさんあって目移りする。ここは行ったことがあるとか、あの景色が観たいなぁとか、色んな期待が膨らむ。だから目的地までのルートや所要時間を順に検討するのは結構楽しい時間だ。まぁ妄想ドライブってことかな。
でも、そんな楽しい妄想の時間はあまり長く続かない。年齢もそうだが所要時間や手続きの手間の現実はそんなに甘くないからだ。歳を取ると面倒臭いことが苦手になる。まぁ結局、レンタカーでのドライブは断念した。
色々ジタバタしたのだが、今年の夏旅は、やっぱり電車で向かうことにした。片道だけでも、なんと切符が4枚もある笑。つまりローカル線の「乗り継ぎ」ばかりの旅程になるということだ。
乗り継ぎかぁ、めんどくせ~なぁというのが当初の反応だ。いつものように新幹線だけなら本を読んで過ごすのだが、今回はもったいない気がした。楽しめることを何か探そう、作戦小僧の虫が騒いだ。
まぁこんな機会はあまりないから、「車窓からの景色」ってやつを楽しむことにしようか、まぁそんな柄でもないが、昔々のことを思い出すかもしれない。乗り継ぎの待ち時間は短いから昼めしは無理っぽい。駅弁も駅蕎麦も思いつくが、なんとなくわびしい気もする。
ならば乗換駅の「探検」でもしてみようか・・・、とかアレコレどうでもいいことを自問自答する。まぁそんな作戦しか浮かばなかった。ドライブと違って電車には様々な制約があるものだ。
いよいよ当日、旅の移動が始まった。早朝予約したタクシーで松任駅まで、そして2両しかない電車で金沢駅へと向かった。考えてみれば白山市民の僕たちにとっては金沢駅も乗継駅だ笑。今回は金沢駅でしっかり朝食を食べておくことにした。
新幹線でまず長野駅を目指す。まぁここまではいつもと同じだが、長野からはローカル線に乗り継いで、次の松本駅へ向う。まぁ路線で言えば篠ノ井線ということかな。
長野駅のそのローカル線ホームはとても静かで誰もいなかった笑、ホームを間違えたかぁ?と思ったくらいだ。で、さっそく探検開始だ。ホームは広くて明るい。ベンチは全てレトロな木製で、待合室もログキャビンみたいで素朴な感じかな。
ジジイの探検とは書いたが、もしかすると迷子になった爺さんとか、老人の徘徊に見えてしまいそうだから、背筋を伸ばしてスタスタ歩いて、写真を撮りまくることにした。だから無駄な写真ばかりだ笑。
ホームのガラス窓に貼ってあった「信州ご当地クイズ」ってやつを見つけて(上の写真)、ちょっと挑戦してみたりした。読者の皆さんは分かりますか?なかなかの難問だよね(正解は文末に)笑。
ホームから見える街の景色は、よくある「さびれた駅裏」のように見えてとてもいい味だ。近代的な新幹線側とは全く違った風景ということかな。わずか15分ほどの探検だが、なかなか楽しい時間だった。そろそろ松本へ出発だ。
車窓からの山の緑の景色は新鮮だが、すぐに飽きてしまう笑。思いついて、スマホの地図アプリで現在地や地名を探しながら時間を過ごす。これはこれで面白かったりする。
山を抜けた電車は、大きな川に出た(犀川という名前らしい)。安曇野あたりのようだ。ということは、あの畑は大王わさび園ってことかなぁ。Googleマップは電車旅にも使えるってことだ。
次の松本駅の探検は空振りに終わった。木製ベンチもログキャビンも、つまりその景色は長野駅とまったく同じなのだ。どうやら長野県の駅はどこも統一スタイルなのかもしれない笑。
次は小淵沢駅へ向かう。中央本線ということだ。その途中に諏訪湖を見つけて、僕たちは昔ばなしを思い出した。この老夫婦には「虫」の苦い思い出があるのだ。
若い頃になぜか二人で諏訪湖の湖畔のホテルに泊まった。その夜、部屋のカーテンを開け外の景色を見ようとしたら何かが邪魔して外が見えない。それは大量の「虫」だった。ガラス窓には光に集まる小さな黒い虫(羽虫)が、窓一面にびっしりくっついて、ゴソゴソ動いていたのだ。ゲゲ~とか何とか奇声を上げたはずだ笑。
地元の方には申し訳ないのだが、それ以来、僕たちにとっての諏訪湖は「虫の湖」になっている笑。
さて、小淵沢駅に着いた。目の前に広がる山々には雲がかかってあいにくの景色だが、涼しいし心が休まる。
駅から送迎バスに乗り継いで、木々に囲まれたホテルの敷地へ入っていった。ようやくここが、今日の乗り継ぎ旅のゴールだ。
ロビーへ入った僕たちを見つけて、孫たちが元気に走ってきた。どうやら先に着いていたようだ。
さぁ、さっそく一緒に遊ぼうか。どうやらジイジとバアバは休ませてもらえないようだ。
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最後に
前述の信州ご当地クイズの正解は「道祖神」でした。
おそらくこんなやつ。