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2023年09月22日

仕掛け人は、あぁ、あの人なんだね

ある日のこと、孫たちを連れて、コスモアイル羽咋という施設にやってきた。孫たちのリクエストなのだが、もちろん僕は来たことはない。そう言えば、羽咋市がUFOで町おこしをしていたなぁ、そんな感じの施設だよなぁ、知っているのはその程度だ。
前日に、所在地を調べようと公式サイトをちらりと開いたら、ここは「本物の宇宙船がある宇宙科学博物館」と書いてあった。結構マジに頑張ってるのかもしれない、と驚いた。でもまぁ少し怪しい気もする。なぜなら展示物の中に「ロズウェル事件の宇宙人」というやつもあるからだ笑。
ロズウェル事件というのは、アメリカの片田舎の米軍基地の近くでUFOが墜落し、そこで回収した宇宙人の遺体を米軍が隠蔽している、という事件のことだ。妄想少年だった僕たちにとってはロマンある話だが、典型的なオカルトネタの代表でもある。雑誌ムーの表紙が浮かんだりした笑。

この日はお盆明けの日曜日だった。広い駐車場なのだが、停まっている車は想像より少ない笑。外には大きなロケットが屋外展示されていて、それをバックに記念撮影できるようになっている。屋外にあるということは本物じゃないだろうな、きっとレプリカに違いない、そんな第一印象だった。
このロケットも、実はNASAから買った本物なのだと、後に知ることになる笑。本物はマグネシウム合金だから、屋外でも錆びたりしないのだそうだ。やるなぁコスモアイル笑。
受付を済ませ、2階の展示エリアへやってきた。宇宙船や月面車、さらに月面活動に使った機器や宇宙服などがちゃんと陳列されている。マーキュリー、ルナ、ボストーク、ボイジャー、アポロと、知っている宇宙船の名前が並んでいる。
展示されている機材は、アニメに出てくるような「かっこいいもの」ではなく、むしろ地味で機能優先、手作り感満載のものばかりだ。孫たちのテンションが上がらないのも無理はない。とはいえ、展示ごとに本格的な解説ナレーションがあって、展示物はいずれも当時の実物だから、やはりリアリティーがある。
宇宙船や機材は、たとえば月面で使用された後は、月に放置されるわけで、地球に戻る訳ではない。ここにあるのは、その当時の本物の機材で組み立てられたもので、いわば「未使用の本物」ということかな。まぁ確かに本物には違いない。すごいぞコスモアイル笑。

宇宙服、本物の隕石、当時の宇宙食などの備品の展示もある。隕石は、実物を持ち上げることができるのだが、やっぱり重い。そんな本格的な展示物の隅っこに、不気味なショーケースがある。中に入っているのは宇宙人の解剖模型だ。これがロズウェル事件のやつかぁ、などと見入っていたのはジイジ(僕)だけだ。
このあたりはUFO関連のエリアらしいのだが、他のエリアはリアリティー満載なのに対して、やっぱり怪しい。とても違和感があるから、もちろん孫たちは、まったく興味がない感じだ笑。とはいえ、そもそも「UFOによる町おこし」の施設だから、怪しいコーナーは必須ということかもしれない。
展示場の横には、なにやら「館長の書斎」みたいなイメージの部屋があって、そのデスクにはスーツ姿の宇宙人が座っていたりする笑。ちなみにこの宇宙人には名前もあってキャラクター化もしているようだ。だから1階の宇宙グッズのショップではそんなキャラクターグッズがたくさん売られている。まぁ商魂もたくましいのだ。僕は気まぐれに「宇宙食」を買ってしまった。正しくは宇宙食の技術を使った加工食品だった。食べた「たこやき」は、まぁそんな味のスナック菓子かなぁ笑。

久しぶりに「オカルト」というコトバを思い出した日だった。だから僕はそののち、書店へ寄るたびに雑誌「ムー」を探し始めた。ある日の大型書店で一冊だけ残っていたこのオカルト雑誌を手にした。廃刊されず生き残っているから、きっと根強いファンがいるのだと思う。
かつての僕にとっては、いつも気にはなっても買うことのなかった雑誌だ。扱う超常現象モノには興味はなかったが、UFOネタはときどき立ち読みしていたと思う。ちなみに今月号の表紙には、やっぱり「月面基地の謎」という見出しが付いていたりする笑。
後日になっても、けっこう興味が続いた僕は、コスモアイル羽咋の公式サイトを再度開いて読んでみた。そして隅っこに「仕掛け人」による解説記事を見つけた。UFOによる町おこしの仕掛人の名前はTさんという。読んでいくと田舎町に本物の宇宙船を持ってきたドラマが書かれていて、これがとても面白い。事実は小説より奇なり、ってことだ。
実はこのTさんは、後にあの「ローマ法王に米を食べさせた男」としてマスコミが騒ぎ、その後「スーパー公務員」と呼ばれて有名になった人だ。この話題を知っていれば、あぁ、あの人なんだ、と思うはずだ。その強引な発想も、とんでもない行動力にも脱帽だ。
Tさんは昭和30年生まれだから、僕たちと同じ世代だ。テレビや音楽や雑誌、そんな同じ時代の風の中で同じものを見て、同じ興味や夢を抱いた可能性が高い。もしかすると彼もムーの読者だったのかもしれない笑。いつか、そんな彼の生の話を聞いてみたいものだ。

この施設 hakui.ne.jp/ufo/

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