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2023年10月13日

飲んじゃいけない日なのに

今度は右の1週間
先週の左眼の手術から1週間後、予定通り、今週は右眼の手術を終えた。左右の違いはあるが、2回目となれば、もう気分は経験者のそれになっていて、気持ちは一気に軽くなる笑。何か楽しいことをしたくて、うずうずし始めた。
とはいえ、意外にまじめな僕は先生との約束事はちゃんと守っていた。一番の難問だと思っていた「禁酒」も、意外に苦にならなかった。ノンアルコールビールで始まった禁酒生活なのだが、その後、ノンアルサワー、ノンアルワインなどなど順に買うようになった。
ノンアル商品など、手にすることはなかったから、いろんなやつを試すのが面白くなったのだ。ビールと違って「おかわり」したいとは思えないのだが、何日か続けると「これは、まあまあいけるぞ」というやつも見つかるようになった。残りの1週間も我慢できるはずだ笑。
ちなみに9月には、ひやおろしなどの秋酒が出回る。もちろん買って飲み始めたのだが、すぐにこの禁酒生活に突入してしまい、封を切ったばかりのひやおろし2本は、そのまま冷蔵庫の中に放置されている。たぶん風味は落ちたろうなぁ笑。

この日の夕方、僕たちは金沢市内の某ホテルにいた。僕の「地酒の師匠」が、ちょっと特殊な「利き酒会」をここで開くからだ。師匠と出会ったのは僕が35~36歳の頃(第2期の地酒ブームの頃)だ。だからもう30年以上の付き合いになる。
師匠には、27期の日本酒の会でも世話になっている。酒の取り寄せや保管もそうだが、利きチョコやグラスなどの酒器を無償で貸してくれる、あの酒屋さん(Tまき酒店)だ。利き酒会と書いたが、今回のやつはお店の35周年の記念イベントのようだった。開催日を知ったとき、僕の手術(まぁ禁酒期間)と重なっていて、そんな事情だから無理だよ、ごめんね、といったん欠席を伝えてあった。
ところが後日、店頭でそのパンフレットを見せられて驚くことになった。こんな立派なカラーパンフを用意するほど真剣なイベントだったのだ。予定参加者は何と120人(スタッフも含めれば150人程)、会場は某ホテルのバンケットルーム、だから会費はちょっと高額だ(まぁ僕たちのやつの2倍以上かな笑)。
そして何より、このイベントには取引先の全国の蔵元の社長さんや杜氏さんなどの造り手も顔を揃えるらしい。会場では食事のほか、この全国の13蔵のブースが並び、その銘酒を自由に楽しむという趣向のようだ。まぁ僕個人としては、酒が飲めないから楽しみは半減なのだが、35周年のお祝いにと、正式に参加を申し入れた。酒は飲めないが造り手(蔵の人たち)との会話は楽しみたい。

定刻、師匠の挨拶や蔵元の人たちの自己紹介などがあり、乾杯ののち自由な利き酒タイムになった。参加者は順にブースを回って、どんどん酒を試飲する。まぁ酒好きの集まりだから、みんなグイグイ飲んでる感じだ笑。
出品されている酒は、定番のそれではなく、大吟醸クラスばかりだ。そして、あんまり店頭には出てないやつがあるのも特徴らしい。まぁとても豪華な飲み放題なのだ笑。13の蔵元から2種類(中には3種)の酒が出品されるから、その気になれば26種類以上の銘酒が楽しめる。
今回の酒の豪華なラインナップには理由があるのだと思う。主催者の企画意図(地酒ファンと蔵元の交流)への賛同もそうだが、たぶん主催者(師匠)と蔵元との深い関係が影響している。まだまだ日本酒が売れない時代から、地酒を(蔵元を)愛して取り扱いを続け、石川県の今の地酒ブームを支え続けた酒屋さん、その貢献への感謝のキモチがそうさせるのだと思う。35周年へのお祝いやお礼ということだ。
この日の僕は試飲を諦めていたから、開会前に各ブースを回って、準備中の蔵元(代表者や杜氏さん)と雑談をしていた。どの蔵も、当時のそんなエピソードを楽しそうに語ってくれた。中には若い蔵元もいるのだが、先代や先々代の時代から、彼の話を聞かされているらしい。師匠は満72歳の今日まで地道に頑張ってきたんだなぁ。
●この会の会場の様子アルバム(タップして右へ)

さて、禁酒中の僕のハナシだ。もちろん乾杯の酒には口を付けた。テーブルには「やわらぎ水」として吉田酒造の仕込み水がボトルで出ていたから、すかさずそれを飲んでアルコールを薄めた笑。
乾杯酒は久保田「千寿」だったのだが、まぁ「千の寿」だからお祝いの席にはちょうどいい。僕も古い人間だから、祝い事に酒を持っていくときは千寿を使う。実はこの久保田は、僕が師匠と出会うきっかけになった日本酒だ。まぁ当時のブームのけん引役かな。
家を建て、引っ越した近所の小さな酒屋に、萬寿(純米大吟醸)を始めとして久保田がフルラインで並んでいて驚いた。当時から勝駒や池月など僕が好きだった地酒も常備していて嬉しかった。
店主は酒を語らず、ただ「飲んでみまっし」と試飲をすすめるスタイルだった。能登杜氏四天王の酒(山廃は当時は例外だった)を買うと、一転して雄弁になり、彼ら杜氏4人の話を聞かせてくれた。地酒にハマっていったのは、そんな師匠がいたからだと思う。壇上での彼の挨拶を聴きながら、そんなことを思い出していた。
さて、この35周年の日の師匠は、珍しく酔っていた。僕の席の横に座って、彼のいつもの持論が始まった笑。ようするに蔵元とファンをもっともっと近づけて、日本酒の新しい未来を作りたいのだ。
この日の13の蔵の酒のほとんどは、日頃飲んでいるやつばかりなのだが、師匠との雑談の途中、僕が飲んだことのない酒が、今日は何本もあることを教えてくれた。だからまずいことに、僕はがぜん飲みたくなってしまった笑。師匠の熱弁にほだされたのかもしれない。
で、結局、ここまで我慢したのに、僕の禁酒期間はこの日で終了することになった。隣の家内も、もはや呆れ顔だ笑。そうだね、いろんな意味で、この日の酒は、すごく美味く感じた。

ちなみに、自宅の冷蔵庫に眠っていたひやおろし2本だが、ようやく残りを飲む日がやってきた。分かってたことだが、飲んだ結論で言えば、生酒は早めに飲み切らないとダメ、ってことだ。この生酒は「酒鍋」に使うことにするかな笑。

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