toggle
2023年12月01日

散歩の途中で「そのカフェを探して」

秋の鎌倉散歩その4
七里ヶ浜での朝ごはんののち、再び江ノ電に乗って、今度は長谷駅まで戻った。有名な長谷寺と大仏さん、そして近くにある古刹も順に回った。そもそも寺社仏閣に興味が薄い僕なのだが、さすが鎌倉だ、素晴らしかったし面白かった。だから、そんな「鎌倉名所のハナシ」は次の記事にちゃんと書こうと思う。
さて前回と同じように、今回も「食べる散歩」のハナシだ。それは、ふたつめの目的地の「とあるカフェ」のことだ。まぁ後編ということかな。

そのカフェは、長谷寺から海に向かった「坂の下」という場所に「あるはず」だった。そこは古民家の一軒家カフェが何軒か並んでいるエリアで、カフェ好きの若い人たち(イメージで言えば、癒しを求める女性ってことかな)にとって外せない坂道(カフェの小径)らしい。小さな情報記事で知った僕は(まぁジジイだけど)とても興味を持った。
あるはず、と書いたのは、存在するはずの「カフェの小径」の入り口が見当たらないのだ。印刷物には存在する小径なのだが、Googleマップでは大きく迂回するルートしか出てこない笑。
まさか、こんなところかぁ?、と見つけたのは、広い道路ぞいの、商店と民家のあいだにある「軒下」だった。狭くて小さな「すきま」が奥に続いている。小径というのは、おそらく私有地なのだ。Googleが表示しないのはそんな理由なのだと思う。

そんな小径を右へ左へと入っていくと、順にさまざまなカフェに出会う。迷路みたいだが1本道だから迷わないし面白い。のれんや看板や店頭メニューなどが、どれも個性的で、いくつか入ってみるのも楽しそうだ。とはいえ、そうもいかない。探しているのは一番奥にあるはずのカフェだ。
突き当りの雑木林の向こうに海が見えた。つまり、行き過ぎたのだ笑。で、振り返ったら見つかった。でも、とてもカフェに見えない(つまりボロい民家みたいな)建物だった笑。
看板を探していると、玄関がガラリと開いて、猫と青年が顔を出した。青年は「じゃぁね」と猫に声を掛けている。どうやら猫がお出かけするらしい。
僕たちに気付いて、笑顔満面で中に招いてくれた青年は、とても個性的な身なりで腕にタトゥーが入ってるのだが、どうやら店の人らしい笑。靴を脱ぐような民家の造りなのだが「そのまま上がってください」と案内してくれた。左に広いテラス席(というより外の庭)、右手に女性たちが働くキッチン、ふすまを取り払った広いリビングには不揃いのイステーブルと古い家具、まぁ独特のセンスが漂っていた。
どうやらパンケーキカフェらしい。カフェラテとか、パティシエの力作だというモンブランパンケーキというやつで、ちょっとくつろぐことにした。カフェラテのラテアートは小さな「円」が丸く並んで描かれているのだが、すぐに「猫の肉球」だと分かった。たぶんさっきの猫のそれだ笑。
●その古民家カフェのアルバム(タップして右へ)

実はこの店には物語がある。今から10年以上前だと思うが、鎌倉を舞台にしたテレビドラマ「最後から2番目の・・・」のモデルになったカフェなのだ。そのドラマには鎌倉のたくさんの実在スポット(駅舎、お寺、飲食店、海岸)がロケ地として登場する。
ドラマの舞台は主人公・長倉和平の自宅を改装したカフェという設定なのだが、そのモデルになったのが、ここ「カフェ坂の下」だったらしい。ちょうど僕たちが座っているのは、朝ごはんを食べにくる吉野千明の定位置あたりだ笑。
モデルとして実在したこのカフェは、放映後も人気だったらしいが、何年か前に惜しまれながらクローズし、今のオーナー(あの青年かなぁ)が、それを引き継いで再営業を始めたようだ。まぁこの場所には、そんな不思議な魅力がある。
ちなみに、さっきの猫には名前があるのだが、いわゆる「地域猫」らしい。きっと、このカフェの小径で働く人たちが、大事に応援しているのかもしれない。まぁレストランならともかく、古民家カフェにはそんな優しいルーズさが似合う。
キッチン側の狭い通路の壁際に、猫用?の小さな餌皿と、小さな座布団?が置いてある。ここがきっと「あの猫」がくつろぐ場所なんだと思う笑。

さて、ドラマのロケ地のハナシをひとつ。長谷駅の隣に「極楽寺」という駅がある。主人公たちが住んでいた街という設定なので、このドラマに何度も登場した小さな駅だ。ちなみに、この極楽寺駅は業界に人気のようで、いまでも映画やドラマに使われている。
そして長倉家があった場所は(極楽寺の)ある神社のそばという設定だった。しかし、そのロケ地は長谷寺の近くにある御霊(ごりょう)神社らしい。鳥居を出るとすぐに江ノ電の踏切という鎌倉らしい場所だ。長谷駅と極楽寺駅の中間あたりにあるのだが、たまたま、カフェへ向かう道すがらだったので、その神社に寄り道してきた。ドラマでは、境内~鳥居~踏切~階段~長倉家の順に並ぶらしいから、当時の長倉家(ただの民家)を探してみたりした笑。
このドラマは確かに観ていたと思うが、こんなに強い記憶になっているのは不思議な気がする。歩きながら、記憶の正体は「鎌倉の街のチカラ」なのではないかと思った。まぁ簡単に言えば、僕にとってはとても魅力的な街に思えるだからだ。

Other information