女子寮の跡地にできた複合施設
冬の軽井沢散歩その1
軽井沢の森に、新しい複合施設が誕生し、いま話題らしい。名称は「軽井沢コモングラウンズ」、2023年3月に開業したばかりなのだが、すでに人気のスポットになっているようだ。公式サイトを見つけて、ちょっと覗いてみたのだが、よく分からない施設、というのが第一印象だった。
地域コミュティーがテーマ?、森の中の本屋?、インターナショナルスクール?、エネルギーシェアリング?、食育プログラム?・・・、どれも何だそれ、なのだが、カフェや飲食店もあるらしい。でも、どうやら事業主体はCCC(あのTUTAYAを生んだ会社)みたいだから、とても興味深い。
どこにもないような特別感?がありそうで、どこか軽井沢らしさを感じて、とても面白そうにも思えた。だから、旅の最初の目的地(初日の1番目)に選ぶことにした。
住所は中軽井沢らしい。つまり宿と同じ方向のようだ。軽井沢駅からタクシーに乗り、宿にトランクを預けて、そのタクシーで目的地へ向かった。時刻はちょうどお昼どきなのだが、広い駐車場に車はまばらだった。
運転手さんの情報によれば、ここは元、青山学院の敷地だったという。後から知ったのだが、正しくは青山学院女子短期大学の軽井沢寮、つまり女子寮だったようだ。周囲は民家もあるエリアなのだが、なるほど、元々大学の施設だから、歴史や自然が残る「軽井沢の森」ということだ。
ちょっとした丘の斜面の上と下に駐車場があって、その斜面の森が整備され、遊歩道が続いていた。その小径に沿って、小さな木造の建物(ショップ)が点在している。古いエアストリーム(高級キャンピングカーみたいなやつ)も1台あるのだが、これもショップなのかもしれない。
進むと、一番奥の高い場所に大きな建物がある。遠目で見るとカフェのようだが、ここが本屋さん(軽井沢書店)らしい。森の木々と、大小の建物の配置やバランスが良くて、素敵な空間になっている。冬だから緑はないし、あいにくの曇り空なのだが、晴れたグリーンシーズンなら、どこで写真を撮っても映える感じだ笑。
遊歩道は、コンクリートやアスファルトではなく、いわゆる「ウッドチップ」を敷き詰めたもので、歩くと足元が楽しい。立ち食いの蕎麦屋や低温燻製の食品を売る店、女性に人気のかわいい食堂やギャラリー、そしてインターナショナルスクールもある。
いくつかのショップを覗きながら、ちょっと興味をもった「燻製もの」を買ったり、本屋に入って館内を探検したりした。食事ができそうな店は何軒かあるのだが、面白そうな立ち食い蕎麦屋を選んだ(名前はOSOBARという)。店内には立ち食いカウンター、そして外のデッキに座って食べることもできるようだ。
小さな券売機で食券を買うのだが、そこで店主?が、おすすめは「春菊の天ぷら蕎麦です」と教えてくれる。立ち食いとは言っても駅にあるそれではなく、注文が入ってから作るようで、春菊の天ぷらにはそれなりの時間が必要らしい。
外のデッキで食べるつもりだったが、12月の軽井沢は、すでに氷点下の毎日らしく、とても座っていられなかった笑。ちなみに出てきた蕎麦には、でっかい春菊がデ~ンと乗せられていた。まぁこの寒さは蕎麦の味を引き立てる調味料かな、熱々が旨い。
食後は、本屋と一体になったカフェで、温かいラテを飲むことにした。焼きたてのスコーンに惹かれたが、お腹いっぱいだから、これは断念した。店内には、若い観光客もいれば、近所の主婦らしい人たちが談笑している。そして、タブレットやPCに向かっている人もいる。リモートワークなのかな。軽井沢だから、もしかすると若い移住者たちの仕事場なのかもしれない。なにせ、この2階にはコワーキングスペースもあるようだ。
イスやテーブルはいたってシンプルなのだが、不思議なことに、とても居心地がいい。横の大きな窓からは、軽井沢の森に差し込む冬の木漏れ日も感じられる。ポカポカしてくるのは暖房だけではない気がする。僕たち夫婦は、いつのまにか本を読み始めた。本屋の棚から気に入ったやつを持ってきていいようだが、僕はカバンの中に入れておいた読みかけの小説だ。
ひとしきり読んで、時計を見たら、もう2時間ほどここに居たことに気付いた笑。そろそろ宿のチェックイン時刻だ。タクシーを呼んで、宿に向かおう。こんなに楽しい「冬の散歩」ができるのが、軽井沢らしいってことかもしれない。