toggle
2024年03月22日

舌の記憶「食いしん坊の落とし穴」

3月なのに、沖縄の海開きが順に始まっているらしい。そんなニュースを聞いて思い出した。朝から晩まで食べてばかりの、食いしん坊の旅のお話。それは今から10年以上前、まだまだ胃腸には自信があって、食べても食べても大丈夫だったころの沖縄バナシだ。

その旅は、レンタカーでいくつかのビューポイントを回りながら、沖縄のローカルフードを順に試していくような旅(4人の旅)だった。とてもワクワクしていた。結局この3日間で食べたのは、ゴーヤチャンプルや沖縄そばはもちろん、ミミガー、テビチ、ジーマミ豆腐、島豆腐、ミーバイ、グルクン、ジューシー、そしてルートビア、さんぴん茶・・・、意表をついて沖縄天ぷら、チンピン、サーターアンダギーと、思い出は続く笑。どんな順番で食べたのか覚えてはいないのだが、食べたものはよく覚えている。
ローカルフードはホテルでは味わえないから、あちこちに立ち寄りながら探して、順に立ち寄って食べてみる。旨い。するとそこには、知らないローカルフードがさらに出てきて、おもわずそれも追加してしまうような旅だった。自動販売機の中にも得体のしれない飲み物があって、これはこれで楽しい。結局、帰りの空港でも、食べていない料理を必死に探し回わった記憶がある笑。食いしん坊の旅には行動力と根性と胃袋の強靭さが必要だ。

せっかくの沖縄なので、最終日の夜だけ、少しぜいたくしようという話になり、地元では有名な高級ホテルのダイニングに、ダメ元の予約電話を入れてみたら、簡単に取れた。東京の有名シェフ監修の沖縄イタリアンの繁盛店、ということだった。そのシェフの東京の店は大人気で料理も美味しく、価格は大衆的だからと、たかをくくっていた。
ホテルの名前は「K瀬別邸」、名前は旅館ぽいが、ちゃんとしたリゾートホテルらしい。HPで確認すると、そのホテルは「子供の利用ができない」と書いてある。いまどきそんなホテルもあるんだなぁ、と思いながら、念のため着替えて、少しおしゃれな格好に切り替え、タクシーで向かった。
ホテルは海沿いではなく、山手にあって、広大なゴルフ場を併設したホテルのようだ。敷地内の道路からエントランスへ向かうあたりは、恐ろしく豪勢だった笑。黒服のエスコートに従って、僕たち4人はレストランの予約席に座った。

なるほどバブル期のホテルだ、そんな名残を感じた。外観はまるでイタリアの豪邸のように大理石に囲まれ、店内はブースごとに軽やかなカーテンで仕切られるようなタイプだ。青山とか西麻布あたりの当時独特のお金持ちの世界かな笑。先に利用している中年の男女グループは、不自然に日焼けした男性陣と、妙に美人の女性陣の組み合わせで、大きな笑い声を重ねていた。銀座とか六本木の同伴光景を連想した笑、きっとゴルフ旅行かもしれない。
あれこれイタリア語が並ぶメニューブックをゆっくり眺め、おすすめのコース料理を選んだ。いくつかの前菜の皿を順に楽しむのだが、どれもキレイで美味しかった。ビールで始まり、ワインをグラスで注文し、あれこれ食べて、メインのあたりで大きなワゴンがテーブルに横付けされた。
ワゴンには、何種類ものチーズが、塊のまま、あるいはすでにカットされたまま陳列されていて、好きなチーズを好きなだけオーダーカットするらしい。コースの中にチーズはあったのかな?などと一瞬考えたが、これは楽しそうだ、と何種類かを少量ずつ注文した。同行の3人もそれに続き、当然、ワインがどんどん進んだ笑。

料理もサービスも行き届いていて、十分楽しめたから良いのだが、失敗した事実を知ったのは、会計の時だ。チーズが追加でちゃんと加算記載されていた(コースのそれではなかった)。どうやら、このチーズはなんと一人4,000円で、ワインも追加しちゃったし、さらに税サービスが付加され、それが4人だから・・・。まぁやられたなぁ、って感じだった笑。
今から思えば、沖縄の食事が、どこも安くて旨くて、食いしん坊のスイッチが入ったのが最初の問題だったのだと思う。食いしん坊の旅には失敗リスクは付きものだが、浮かれすぎるのは問題だ。まぁこれは、僕だけの注意事項だけどね。
ちなみに、このホテルは、その後クローズ(閉館)した。いいホテルだったから「残念」だけど、ある意味で「やっぱり」かな笑。でも、いまは世界でも有名なホテル「R」が運営を引き継いだ。どうやら改装され、ファミリーも使える沖縄リゾートに変身したようだ。だからもう子連れでも大丈夫だと思う笑。

Other information