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2024年12月19日

ちょっと真面目に加賀棒茶と向き合うひととき

師走の金沢散歩
この日は朝から香林坊にいた。久しぶりの観光客ごっこのスタート地点だ。つまり今日は金沢をあちこち歩こうと思う。とはいえ散歩コースは毎回ほぼ同じなんだけどね笑。まぁ季節が違えば景色も変わるから、それが心地よいだけかな。
まずは某ホテルロビーの「金箔のクリスマスツリー」だ。なかなか面白い。これも金沢らしいってことかな。そして朝の珈琲を飲もうと、これまた久しぶりに香林坊のミスドへ入った。ミスドのカフェオレはなぜか旨くて安い。もちろん僕にとってはオールドファッションも欠かせない。
いつものように兼六園へ向かって歩き始めた。あいにくの雨だが、21美から本多の森公園、美術の小径を抜けて県立美術館へと歩いた。
兼六園の紅葉は想像通り終わっていたが、モミジの絨毯が観れた。園内の落ち葉の掃除は行き届いているから、これは、あえて落ちた紅葉を残した景色なんだと思う。職人技の見せどころってことだ。とてもきれいだった。まぁこれが見納めってことかな。
▼散歩風景のアルバム6枚(タップして右へ)

昼過ぎには、ひがし茶屋街にいた。拍子抜けするほど人がいない笑。
師走に入ったとたんに観光客は激減するものらしい。そういえば金沢駅はホントに静かになった気がするし、21美にも兼六園にも喧騒感はなかった。茶屋街の人気カフェなどはいつも行列なのだが、今日はガラガラみたいだ。
ということは空いてるかもと、あの丸八製茶場「一笑」へ向かった。ここは僕たち老夫婦のお気に入りにカフェなのだが、いつも一杯で、ここ何年かは入れたためしがなかった。そもそも広くはないのだが、なんと空いていた、ラッキーだ笑。

▲玄関の小さな風除室を抜けるとギャラリーになっている。今月はガラス皿や小物、アクセサリーの展示販売のようだ。その横に昔ながらの階段があって、2階はコワーキングスペースになっている。まぁ今っぽいよね。
通路にはカウンター席。この日は女性客が一人でくつろいでいた。そして奥の坪庭をのぞむテーブル席に座った。
一笑は、洗練された空間で、極上のお茶の時間が楽しめる。でもまぁ、丸八製茶場が販売している製品PRのスペースってことかな。

▲テーブル席には3種類の茶葉がセッティングされている。丁寧な説明ののち、茶葉に湯を注ぎ3種類の香りをテイスティングする。これがメニューなので、好きなやつを注文する仕組みだ。
情けないが、僕が知っているのは献上加賀棒茶だけだ笑。これは「茎」のお茶。真ん中の加賀ほうじ茶は「葉っぱ」のお茶。焙煎するのは同じだが、香りは明らかに違う。そして12月は「青心烏龍」つまり、やや発酵させた青茶が加わっていた。
選んだお茶は、しゃれたお菓子とセットで提供される。選べるお菓子も面白い、まぁちょっとしたペアリングだ。僕たちは、加賀ほうじ茶には旬の練り切り(和菓子)を、そして青心烏龍には「あんぽ柿のクロスティーニ」を選んだ。最近は珍しいやつも提案してるんだね。

▲そもそもクロスティーニは、ブルスケッタに似たイタリア前菜だが、ニンニクを使わないのが違いらしい。この日のやつは、あんぽ柿+モツァレラ+オリーブオイル、もうひとつはあんぽ柿+クリームチーズ+菩提樹の蜂蜜、そんな2種類だった。なんか得した気分になる。
茶葉の違いや特徴、産地や加工の違い、焙煎による深みの変化などなど、スタッフの若い彼女が、色んな説明(というか楽しいおしゃべり)をしてくれる。だからお茶を口に含むたびに、そんな味や香りを探しながら楽しんでいく。
門外漢の僕には解説が難しいが、お茶には独特の旨味や深みがあるから、チーズの強さに負けないし、むしろ楽しい組合せになるってことだと思う。お茶とのペアリングはとても楽しい。しばらく来ないうちに加賀棒茶は進化してるんだなぁ笑。

ちなみに終盤になると、彼女は「試してみませんか」と別のお茶をサービスしてくれる。いっけん緑茶のような感じだが、実はさっき飲んだお茶の「焙煎する前の茶葉」の味らしい。これは荒茶(あらちゃ)という段階のもので、素材の味や特徴を確かめる、そんなことらしい。
そしてさらに「よかったらいかがですか」といって、新製品(限定品?)を出してくれた。紅茶向けの品種を改良して生まれた茶葉をほうじ茶に仕上げたらしい。微妙なことは分からないが、とても芳ばしい。山査子(さんざし)の小菓子まで添えてくれるから、さらに嬉しくなったりする。

最後にその新製品のパンフレットと今日のメニューをもらって帰路についた。少量ずつだが何杯も飲んだから、おなかはチャポチャポしてる笑。
まぁ、知ってるようで全く知らない、そんな加賀棒茶の体験学習みたいなことだが、とても豊かで楽しいひとときだった。大人の金沢散歩にはおすすめかな。

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