秋のはじまりに食べるもの
お彼岸の中日、熊危険の貼り紙を尻目に墓参りを済ませ、その帰路に別所の蕎麦屋に立ち寄った。里山のその敷地の隅っこに、ひっそりと秋の気配があった。色付き始めた柿や、まだまだ青いが、たわわに実をつけた栗の木だ。
お彼岸と言えば、季節の節目ってことだから、そんなことに鈍感な僕でも、秋を探してしまうのだと思う。
秋と言えば新そばかなぁとか、天ぷらにはキノコが入るかなぁとか、食いしん坊にはちょっとした期待感が生まれる。
とはいえ新そばには夏新(なつしん)と秋新(あきしん)があるから、もはや秋だけのものってことでもないかな。あくまで日本人的な心象のことかもしれない。こんな年齢になると、秋の味覚ってコトバには特別なお楽しみがあるような気がする。
今年は久しぶりにサンマを食べた。例年の、細くて小さいナイフみたいなやつとは違って、今年のやつはけっこう大きく見えた。僕はいわゆる塩焼きに、たっぷりと大根おろしをぶっかけたやつが大好きだ。
居酒屋へ行けば、その竜田揚げや梅煮なんかも楽しめる。あぁ、焼いたさんまの土鍋ご飯が一番のごちそうみたいな気もする。
次はキノコかな。先日とある店で、面白いしゃぶしゃぶに出会った。たっぷりのキノコ鍋で牛や豚をしゃぶしゃぶするやつだった。このキノコ汁が旨いのだ。ちなみに舞茸の天ぷらとか、なめこのフリットなんかもやっていた(なめこは揚げても旨かった笑)。
そして、蟹だ。石川県民にとって、ずわい蟹は冬の風物詩(11月解禁)だから、食べれるのはまだまだ先のハナシになる。とはいえ今年の蟹は、もう市場に出回っている。
例えば今日も、10月解禁の山形産ずわい蟹(メスはメガニというらしい)が店頭に並んでいた。そして紅ずわいだ。お隣の富山では9月に「紅ずわい」の漁が始まっている。ひと足早く食べれる秋の蟹ってことかな。
新顔は、あのオオズワイガニだ。北海道では2023年頃から大量発生していて駆除目的で商品化され流通するようになった。上の画像は、先日食べたオオズワイガニだ。甲羅焼きスタイルのおつまみなのだが、安くて楽しいメニューになっていた。
まぁ、本命が登場するまでのあいだ、秋の酒と一緒に楽しむには丁度いい存在なのかもしれない。
そういえばわが家の食卓には、梨やブドウがよく登場する。そろそろ柿や栗ってことになるのかな。雨が続いたから、少し涼しくなって鍋も恋しくなってきた。
散歩道の木々は少し色付いてきた気もするが、鮮やかさはない。今年の紅葉はどうなるのだろう?。見上げた夕方の空は、いつのまにか秋っぽくなってきた。ふらりと秋の旅にでも出かけようかなぁ。