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2018年03月03日

食いしん坊の胃袋「パン職人との勝負」

ある晴れた雪の日、悪友と昼酒を企むことにした。彼はワイン好きなので、つまみ代わりにパンを買うことにした。
最近興味を持ったそのパン屋は野々市にある。道路わきの雪の壁で建物が隠れるので、見落としそうになりながら、除雪していない駐車場に滑り込んだ。その店の外観は、第一印象「白」、真四角のコンクリートの塊の建物の一部にガラス張りの店内が見えるように、抜群のバランスで構成されたもので、一見するとギャラリーとか、センスの良いカフェのように見える。この日は、駐車場には純白の雪が大量に残っていたので、雪のなかに店内の色彩だけが鮮やかに見えるような、心憎い外観だった。
店内も独特の美意識で、狭い陳列スペースに、無造作に商品が並んだように見える。しかし陳列は計算づくで、視線が商品そのものに注がれるように設計されている。その手法は、まるで宝石店のそれに似ている。クールで実に美しい。今日も、商品の陳列量は少ない。しかし毎回全く違う商品が並んでいるように錯覚する。どれもビジュアルが特徴的で、実に旨そうに見える。今回はともかく、次回はあれを買いたいと思わせる、そんなチカラがある商品ばかりだ。
ひとつひとつの商品にはプライスカードが添えられていて、商品名が書いてあるのだが、どれを読んでも、どんな味なのか、全くわからない。平台陳列の商品には試食用のピースが添えられているので、つまみながら味を確認するしかない。だから支払の時には、すでに軽い満腹感を持ちながら袋を手にすることになる(笑)。今日は、前回大満足したクロワッサンを含めて、4~5品買ったのだが、今回も軽く2,000円を超えてしまった。旨いけど、高いよなあ。消費者の自分が、まんまとパン職人の技や企み(たくらみ)に負けてしまったような気がして、何やら面白くない(笑)。商品がどれも秀逸なので、なおさらそう思う。
買ってきたパンを並べ、真剣勝負のつもりで味わってみる。食べたことのない味とフレーバーを感じて、また今日も負けを意識するしかない。たぶん、また買いに行くことになるのだろう。次回はレジ横のタルティーヌを買おう、めちゃ旨そうだった。あっ、もうすでに彼の術中にはまっている。

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