オタクの気分「庵野秀明」
週末、ミッドタウン日比谷へ向かった。この新しい商業施設は、想像通りの人だかりだった。行列のトイレを避けて4階の映画館フロア(TOHOシネマ)へ行ったとき、フロアの入り口あたりに大きな「ゴジラ」の模型オブジェがあった。
シン・ゴジラが日本アカデミー賞の最優秀作品賞ほか7冠を受賞したとき「やっぱり観ておけばよかったのに」と、後悔し、うな垂れた。庵野秀明が監督すると聞いて、観てみたくなったが、所詮、従来の特撮映画の延長だろうと思っていた。だから映画館ではなく、テレビの録画でこの作品を観ることになった。庵野秀明の名前を知っていたのはエヴァンゲリオンを観ていたからだ。娘たちの影響で興味を持ち、劇場版のエヴァを観たのが、このアニメ監督との出会いだ。アニメはオタクの世界のものだと思い込んでいた僕にとって、この映画は衝撃的だった。どうやら僕にもオタクの気質があるらしい。人間の醜さをえぐり出すようなセリフや、細部まで見事な武器やメカの造形、そして独特なアングルが特徴なのだそうだ。そして、その手法は、このシン・ゴジラにも見事に表現されていた。もしかするとシン・ゴジラはエヴァンゲリオンの続編なのかもしれない(笑)。それほど共通点がたくさん存在した。使用された効果音、第二形態への進化や、政府の混乱、作戦の類似など、あげればキリがない。ゴジラは「使徒」みたいだ。オタクの世界と侮ってはいけない。こんなにも魅力的な作品を生む熱気や執念、エネルギーは、もはや「サブカルチャー」ではなく、世界に誇る日本の代表的なカルチャーなんだと思う。庵野秀明はアニメーター時代、ジブリの宮崎駿に見いだされ、代表作「風の谷のナウシカ」のクライマックス、巨神兵のシーン担当に抜擢された話は有名だ。しかし人物画が下手くそでアニメーターを断念し、監督を目指したんだとか。サッポロビールのテレビCM「大人エレベーター」に出演し、妻夫木君の質問に答えて「わかりやすさ」を語る彼のコトバは。相変わらず難しくて、やっぱり面倒くさいオタクのオッサンに見えた。