青春のかけら「ホットサンド今昔」
ジーパンの裾上げは45分で済むのだという。ファストカジュアルの大手は、こんなことまでファストだ(笑)。便利な世の中になったものだ。と、45分間、時間つぶしにコーヒーを飲みに行くことにした。この先の交差点にある、今風の郊外型カフェへ向かった。駐車場は一杯だから繁盛しているのだろう。中に入ると、正面にあるキッチンカウンターには、大量の「サイフォン」が横一列に並び、コーヒーを点てている。この一杯たてのサイフォンは、遠い昔、コーヒー専門の喫茶店でよく見た道具だ。この年齢のジジババならノスタルジーを感じるはずだ。広い店内は、女性ばかりで、平均年齢は高い。年齢だけなら、すぐ溶け込めるそうだ。せっかく来たので、とメニューを見たら、これまた懐かしい商品が出てきた。ホットサンドだ。さっそく注文することにした。
40年ほど昔の、酸っぱい記憶がよみがえった。自分が引き受け、結果、潰してしまった喫茶店の名物のひとつが、このホットサンドだった。今、思い出した。専用の四角形のフライパン(2枚で一対になったやつ)に、食パンとチーズを挟んでプレスし、ガスコンロの直火で焼く、単純なトーストだった。当時はまだ、雪印スライスチーズは存在しなかったような気がするから、どんなチーズを使っていたんだろう、記憶はない。いま注文したのは「厚切りベーコンととろ~りチーズのホットサンド」という名前だから、40年経って、進化したのはネーミングの方かもしれない。テーブルにはコーヒーが先に届いた。サイフォンのまま提供されるから、1.5杯分入っていて、得したような気分になるが、お替りする頃には、冷たくなっているので、がっかりする(笑)。でもコーヒーは僕の好みの濃い味のタイプなのでOKとしよう。肝心のホットサンドは、焼き過ぎで、耳の部分が硬くて食べれないほどの状態だった。期待しない分だけショックも少なかったけど(笑)。きっと、昔の僕も、ひどい商品を提供していたのだろう、と反省めいた気分になっていた。・・・さあ、そろそろジーパンを取りに行こうか。