散歩の途中で「ポップでファンキーなカフェ」
その年の元旦の東京は、想像通りとても静かだった。いや、僕が初詣の人混みを嫌ったからかもしれない。ちなみに銀座に出てみたが、とにかく誰もいない。もちろん営業している店もなく、コーヒーすら飲めそうになかった。明日の初売りは、きっとすごい人ごみになるんだろう。思い立って、ソラマチへ行ってみることにした。元旦営業しているはずだ。今日なら、スカイツリーは並ばなくても大丈夫かなあ、などと少し期待していた。開業した頃のソラマチは、日本一の混雑ぶりで、モールの中は満員電車さながら、人に押されながら歩いた記憶がある。押上駅に着いたが、想像とは違って、地下鉄構内は人だかりだ。ここは元旦でも日本有数の観光地なんだと思い知らされた。いったん地上に出て、空気を吸わないと息が詰まりそうだ(笑)。
ソラマチの正面に気になる店を見つけて入ることにした。Mックスブレナー。イスラエル発のチョコレート専門店で、自称チョコレート・エンターテイメントなのだそうだ。専門店とは言っても、チョコレートの飲料とデザート類を店内で楽しむカフェスタイルの店だ。日本1号店が原宿にオープンしたとき、盛んにメディアで紹介され、原宿らしい大行列のスイーツカフェとして大人気だった。だが目の前のこの店は、2~3組並んでいるだけで、すぐにでも入れそうだ。思わず列に着き、店内へと入った。
笑顔の女性に案内され、簡単に座れたのだが、次々に来店客が訪れ、一気に満席になってしまう。軽い後悔を感じた。客層が若い。それも10代くらいの女性ばかりだ。店内にはポップなデザインのパッケージ商品が陳列され、ソファーや壁面のポスターなど、どこも見ても個性的だ。テーブルは極小サイズで隣との間隔も狭く、オジサンは居心地悪くてしょうがない(笑)。
看板メニューの「チョコレート・チャンク・ピザ」というやつと、ホットチョコレートを注文した。ピザと言ってもミルク味の生地にチョコレートをたっぷり塗って、焼いたマシュマロが大量に乗ったものだ。説明してもピンとこないだろうが、なぜか美味しい。ホットチョコレートは、見たことのないカップに入っていて、両手で挟んで、片口から飲む。これも説明は難しいのだが、とにかく旨い。周りを見ると、チョコレート・フォンデュだとか、クレープなどの注文が多いようだが、とにかく、その容器や食器、どれもファンキーでカワイイ。
この場所にいるだけで疲れそうなので外へ出たが、店の玄関は猛烈な行列になっていて驚いた。さっき空いていたのは、開店直後だったからのようだ。やっぱり今でも繁盛店なのは間違いない。元旦とはいえ、ソラマチは商業施設で、この日は初売り。館内はものすごい人ごみだった。東京の観光地をなめてはいけない。