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2019年09月06日

ただ食べたくて「バルセロナの海」

イニエスタだけじゃなくビジャまで来ちゃった。三木谷さんはヴィッセル神戸をどうしたいんだろう。そんなことを考えながら渋谷駅に降りた。この日の目的地はバルセロナ発のレストランだった。FCバルサのファンショップではない。
何年か前から、渋谷の道がわからなくなった。駅の「出口」の名前に注意して外へ出ても、街の姿がどんどん変わっていて、目的地へたどり着かず迷子になりそうだ。そんな、ちょっとした恐怖感にさいなまれている。
この日も、渋谷ストリームへ向かっていたのだが、大規模な工事のための「う回路」ばかりで、さらに階段を上ったり下りたりと、疲れてしまうありさまだった。
渋谷ストリームは、東横線の地下化の際に、地上に残った跡地を活用して生まれた新しい複合施設だ。低層階にはレストランフロア、4階から東急ホテル、さらに上階にはグーグルの日本法人が入居するとか。そんなクリエイティブワーカーの街なのだそうだ。長く地下に眠っていた渋谷川がきれいになって地上に姿を現し、静かに流れていた。渋谷ストリームは、そんな渋谷川の湾曲に沿って建てられた変形の施設のように見えた。

今夜の目的地は、渋谷ストリームの3階にある○リンギート・エスクリバ。HPによれば、バルセロナで一番美味しいパエリアを提供するシーフードレストランだ。スペインバルのような気軽なスタイルではなく、あくまでスペイン料理を楽しむレストラン、ということだろう。今、バルセロナやサンセバスチャンなど、スペインの地方都市が美食の街として注目されている。このレストランは、そんなバルセロナの人気店らしい。
店のお薦めは代表商品を網羅したコース料理なのだが、欲張りな僕は、わざわざ単品で注文することにした。スペイン語のメニュー名との戦闘開始だ(笑)。トルティージャ、エアバッグ・イベリコ、パタータス・ブラバス、パンコントマテ、クラーラ・・・。前菜のタパス(小皿料理)から始まって、サラダやメインのパエリアまで、ひと通り楽しむことにしよう。もちろんサングリアやワインも本場の味を楽しむつもりだ。

本場のパエリアには、山のパエリアと海のパエリアがあるのだそうだ。前者は肉ときのこ、後者は魚介、したがってベースのスープも全く違うものになるのだという。この店は魚介のパエリアが自慢だ。米のパエリアだけでなく、パスタのパエリア(フィデウア)もお薦めされていた。米のパエリアには、日本のコメでは不向きで、本店の味を再現するために、わざわざバレンシア米を使っているのだそうだ。食べるとわかるのだが、コメと言っても、バレンシア米は全く違う穀物で、炊き上げると魚介のスープをいっぱい含んだ、経験にない食感の、絶品の味に化けるのだった。
巨大なパエリア専用の浅い鍋のままテーブルに運ばれ、木製の専用スプーン(アイスクリームの木製スプーンの大きいやつ)を使って、鍋から直接、口に運ぶ。取り皿などは使わず、みんなで鍋にスプーンを突っ込む楽しさがウリだった。
見たとたんに、大きさに驚いて、無理かと思いながら食べ始めたのだが、うんま~い、と叫びながら、あっという間に完食した。味の秘密はベースのスープなのだが、アサリやムール貝、海老やイカの複雑な風味を感じて、バルセロナの海の匂いを想像していた。

○リンギートエスクリバ xiringuitoescriba.jp

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