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2020年01月17日

軽井沢の風景「旨いソーセージと昼酒」

編集後記では、いままで多くの軽井沢ネタを書いてきた。軽井沢大会は、まだ未発表の頃から、正確に言えば公式ホームページがまだない頃から「いつか実現したい」と思っていたこともあって、この地を何度も訪れてきた。もちろん個人的に気に入っていることも間違いない。当初は新幹線の開業前だから、クルマで来ることが多かった。だから昼にアルコールを飲んだことはない。旅が新幹線になっても、しばらくは、そんな旅はできなかったのだが、最近になってランチに軽く飲むようになった。今回はそんな「軽い昼酒」のお話。

この日は、お昼の少し前に旧軽井沢銀座のロータリーに着いた。人気の蕎麦屋「川上庵」や和食の「酢重」そして向い側の「ベーカリー沢村」には、すでに行列が付いている。若い男女や女性グループばかりだ。人気の3軒は、まず外観がおしゃれで写真映えするから、東京のどこかの若者の街にあってもおかしくない存在感だ。まぁ実際に3軒ともに東京にも出店している(笑)。見てくれだけではなく、料理やサービスもしっかりしていて、人気なのもうなづける。
そんな一角に、以前から気になっていた老舗レストランがある。店名は「キッツビュール」、名前から分かるように、本物のドイツビールと旨いソーセージを堪能できるドイツ料理の店だ。実は道路を挟んだ真向かいにも、この店のソーセージだけを売る店がある。もちろん店名も同じで、炭火で焼ける匂いについつい誘われる店だ。今日は、このレストランで、真っ昼間から旨いドイツビールを飲むつもりだ。

少し前のことだが、ブラタモリで軽井沢編をやっていた。その昔、軽井沢は外国人たちの避暑地として誕生した。たくさんの外国人が滞在することになった。彼らが本国と同様の質素な暮らしを過ごすためには、衣食住のわたって彼らの注文にこたえる店が必要になった。生活必需品はもちろん、靴屋も服屋も帽子屋も、みんな外国人の希望にこたえながら技術を身につけていった。むろん新品だけでなく修理の方が多かったようだ。おそらく「食」も同じで、パンやソーセージやジャムなどは、外国人向けに誕生し、改良されていったことだろう。
教会が多いのも象徴だ。識者の解説によれば、キリスト教の影響で「低俗に流れない善良な避暑地」の路線が堅持されたのだそうだ。そんな欧米的なライフスタイルや独特の美意識に共感する一部の国産セレブたちが、別荘地を求め、彼らのスタイルを尊重して、軽井沢の雰囲気を守ってきたのだと思う。

そんなことを思い出しながら、注文したソーセージに立ち向かった。プレーンとハーブ、2種類のフランクフルトと、もうひとつはケーキ型?のソーセージなのだそうだ。初めて見たカタチだった。無骨なガラス瓶にてんこ盛りに入ったマスタードを、好きなだけ皿に取り、アツアツのうちにパクつくと、ソーセージ独特の音と肉汁がはじける。旨い。これも外国人に鍛えられた本国の味なのだろうか。僕は、あの付け合わせの、ザワークラフトってやつが、ただ酸っぱくて苦手なのだが、この店のやつは、初めて美味しいと思った。
立派な紳士のスタッフに薦められたドイツビールは、シュナイダーヴァイセとかいう名前で、テーブル横で職人技のように、グラスに注いでくれる。これが旨い。一気飲みで少し酔ってしまった。さあ外はいい天気だ。旨いビールのおかわりを我慢して、そろそろ軽井沢散歩に出かけようか。

軽井沢にはたくさんの「美味しい店」がある。もちろん失敗もたくさんした(笑)。一店一店を書くことはあっても、なかなかまとめて書く機会はなかった。だから近いうちに、いくつかの軽井沢グルメ情報(失敗情報もあるのだが)を順にまとめて、お届けしようと思う。

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