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2020年03月27日

散歩の途中で「廃止になった駅まで」

鶴来の樹木公園を歩こうと思った。そういえば、かれこれ何年も行っていない。樹木公園は白山比咩神社の少し先にある。たしかここは林業試験場で、名前の通りたくさんの木々が植栽された広い公園だ。フィトンチッドというコトバが流行ったころ、しばしば行っていた。特に春の桜は見事だった。
日曜日だというのに、さすがに駐車場の車は少ない。まだ3月の初めだから、木々が緑に色づくのはもっと後だろう。散歩のルートをイメージしようと、園内地図の大きな看板へと向かった。と、そこで驚いた。地図の代わりに貼ってあったのは「熊出没注意」の貼り紙だった(笑)。そして思い出した。ここへ来なくなったのは、ここが熊が出没スポットだからだ、すっかり忘れていた。冬眠の熊がオハヨーと出てくるかもしれないが、せっかくだからと、少しだけ歩いてみることにした。整備された新しい植栽の中に、少しだけ桜が咲いているのを見つけた。早咲きの「河津桜」だ。たくさんの蕾が膨らんで、春の訪れを感じることになった。

クルマを表参道の下の駐車場に停めて、下から白山比咩神社へと歩いて登る。一の鳥居の先の表参道の広い階段は、緑の苔に一面覆われている。広い階段をゆっくり進み、二の鳥居あたりになると両側には巨木・老木が増えて、一気に神聖な空気に包まれる。そこから三の鳥居までの階段は、やや狭くて急になるから下を向いて歩いてしまう。登り終えて上を向くと、そこに荘厳な神門がそびえている。
普段は上を走るバイパスから、車で乗り付けるだけだから、この参道は使うことがない。でもこうして一歩一歩ゆっくり歩くと、白山さんへの畏敬の念が湧いてくるから不思議なものだ。初詣のあの喧騒も、ベビーカステラを焼く臭いもしない参道で、苔むした古い狛犬をじっと眺めたりしていた。鶴来の歴史に興味があるわけではないが、地域の人たちが、ずいぶん昔から大事に守ってきたんだろうな、などと考えていた。

僕の気まぐれな散歩は、北陸鉄道石川線の「加賀一の宮駅」まで続いた。10年ほど前に鶴来駅の先、つまりこの駅までの路線は廃止され、廃駅となった。古い駅舎は記念館のような場所になっていた。廃駅のときに取り壊しに反対した地域住民の努力で存続が決まったらしい。
駅舎の中に入ると、懐かしい木製の長椅子とか、廃駅当時の時刻表などがそのまま飾られていて、ちょっとだけ、いい雰囲気だ。外から全体を見ると、実に立派な建物だ。でも「まくら木」も「線路」もなくなったので、何か物足りない景色にも思える。古いものを一部分だけ残すというのも、なにやら難しいものなんだな。
ずいぶん歩いたから小腹が空いた。山法師の大判焼きでも食べようか。あの大量の粒あんはそそられる。でもこれで散歩の消費カロリーはチャラだな(笑)。

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