ぼ~っとしている同級生
マグカップに珈琲のお替りを入れようとして、気づくと「お湯」を入れている。手に持っていたのは珈琲ポットではなく、なぜか、ヤカンだ(笑)。食後のソファーで、なぜか「よだれ」がこぼれて気になった。歯ブラシをくわえたままで、磨くのを忘れているからだ(笑)。台所まで行ったのに、何しに来たのか忘れる。仕方ないので冷蔵庫を開けて、さも探し物をするみたいなフリをして、冷蔵庫を閉める(笑)。トイレに座ると、お尻がヒヤリとして、気づくとフタの上に座っていたりする(笑)。
酒を飲んで酔った時の行動ではなくて、ときどきある僕の日常だ(笑)。実は、何かをしている最中に、急に別のことを考え始めたときに起こる症状なのだ。ボケたおじさんの反応にも見える(笑)。何とかがね、何とかだから、何とかは、してもいい?、と、そんなときに話しかけられても、おう、とか、うん、とか返事をするだけで、内容は覚えていない(笑)。今朝も、新聞の休刊日なのに、外まで新聞を取りに出てしまう。まぁこっちは寝ぼけてるってことだけど、よく似た症状だな(笑)。こんな(笑)マークを付けるハナシが日常的に起こっていた。そんな日が多くなっていた。
3月ごろから、そんな、一見すると「ぼ~っとしている」ことが多くなった。傍目からみると何も考えてないだろう、という雰囲気を出しているそうだが、実は真逆で、僕本人は別のことを考えている。けっこう思考に集中しているのだ(笑)。むしろこんな時の目つきは鋭くなって、眉間にシワがよる。そして、ぼ~っとした直後は、火がついたようにデスクに向かい、データを読み直したり、キーボードをたたきまくって、仕事に集中する。そんな時は、独り言が多いのだそうだ(笑)。気づくと時刻は零時を過ぎて日付が変わり、そしてまた、台所に向かって、ぼ~っとして・・・(笑)。こんなことばかりだった。
シゴトの課題が激変したからだった。もちろん課題はクライアント先の経営施策で、それに応える僕の課題でもある。当初は感染者数の報道ばかりで、話題は感染症対策に終始していたが、企業経営への影響が甚大なのは明らかだった。フェーズの違う戦いが始まったのだ。
そんな戦いの日々が今も続いている。もちろん僕だけのことではない。いまも現役で働く27期の仲間はたくさんいて、第2第3の人生を歩む仲間がいて、それを支える家族も、みんな同じような毎日だと思う。今日もみんなは、それに立ち向かっているはずだ。
けっしてコロナのことを書きたいわけじゃない。書くとしたら、そんな日々の、僕(という一人の同級生)のおかしな日常のことくらいだ。書いていることは、どれも実話だ。全てホントの話ばかりでフィクションはない。実話だから生身の僕がそこにいる。読んだ誰かが、ふっと笑ったり、バカなやつだと思ったり、そんな光景をイメージできるとすれば、同じ目線の、等身大の同級生だからだろうと思う。
考えてみれば、この編集後記を書くあいだも、けっこう、ぼ~っとしていることが多い。もちろん考えていることはシゴトのことじゃない。このときだけは、僕の思考が仲間の方に向いている。ときおり、仲間の視線や笑顔や、ツッコミをイメージすることもある(笑)。こんな頻度で書くから、そんな頻度で同級生のことを思い出す。
今日も、何気ない自分のバカな行動に驚いて、一人笑いしたとき、ふと、仲間はみんな、どうしてるんだろう、と思い立った。原稿を書くのはつらいのだが、考えてみたら、けっこう幸せな時間でもある(笑)。読んでくれた誰にも、きっと、ぼ~っとする時間があると思う。そんな時、たまには、同級生の一人が同じようにぼ~っとして、原稿に(正しくはキーボードに)向かって、頭をポリポリかいている姿を思い出して、笑ってほしい。とても変だが、そんな、ささいなことを願うのが、僕の編集後記だから(笑)。