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2020年12月11日

人生最後の食事2020年版

10年ほど前だろうか、ジャックニコルソンとモーガンフリーマンが共演した映画「最高の人生の見つけ方」が一部で話題になったことがある。余命宣告を受けた二人が、棺桶リスト(死ぬ前にやっておきたいことリスト)を作って、それを実現するための旅に出る、という物語だ。まぁ、僕たちの世代でも、遅かれ早かれ、そんなことを考える時期が来るのかもしれない。映画では、相棒の一人が大金持ちだから実現できるという側面もあるのだが、そんなことを言ったら夢がなくなる(笑)。
少し前に、これを原作とした同名のリメイク映画が日本でも制作、上映されたから、なんとなく日本人の機微とか人情や死生観に響くテーマなのかもしれない。たしかに、僕も、面白がって「リスト」を作ってみようか、などと考えたことがある。でも、何も浮かばないのだ。つまらない小市民だから、なのだが、映画の主人公たちに共通する「余命宣告」は受けていないし、「孤独感」みたいなものが、僕にはないからなのかもしれない。

映画の影響かどうかは分からないが、何年か前から「人生の最後に食べたい料理」のことが会話に出てくるようになった。そんなとき僕は、セブンイレブンのシュークリーム、と答えてきた(笑)。本気でそう思っていたのだが、少し前からなんか違うなぁ、と思うようになった。そのシュークリームは、毎年のように改良されて、たしかに美味しくなった。名前も変わって、プロが絶賛する出来らしい。でも僕にとっては本格的な今のやつより、前のほうが好きだからだ。手に持った時のずしりとした重さや、口の横からあふれ出るカスタードが幸せだった。
誕生日の話題になったその日、再びそんな話になった。だから、あらためて考えることにした。そしたら、朝ならどうするかなぁ、とか、夜はこうかな、とか、結局、欲張りな僕は、最後の1品ではなく「最後の一日」に食べる食事のことを考えていた(笑)。

食べたいもの、と言っても、食べたことのないやつは想像しようがない。結局、過去の経験からしか選べないものだ。とはいえ、あのシュークリームのように、途中で変更するかもしれない。まぁ師走だから、2020年版ということにしよう(笑)。ルールとしては「家庭の味」は外そう。でないと紛争が起こる(笑)。
まず、昼に食べるものが最初に決まった。草庵の鴨せいろだ。欲張って、出汁巻きも付けよう(笑)。夜は、なぜか旬のカマスの塩焼がいい。修善寺の「あさば」で食べた炭火焼きのカマスが忘れられない。それに炊き立ての土鍋ごはんだ。朝に食べたいやつは、迷って選べない。エシレのクロワッサンかな。マンダリン東京のエッグベネディクトも外せない。だめだ、銀座で食べたBills(ビルズ)のスクランブルエッグの魔法も思い出してしまった。
あっ、デザートを忘れてる。これは和にしよう。銀座「かずや」の練(れん)がベストだ。そして、寝る前に、倫敦屋のジントニックを飲もう。ということは、酔ったままオサラバすることになるのか。これはこれで僕らしいかな。

おさらいすると、朝は東京にいて、昼に鶴来に戻って、夜は修善寺、そして買っておいた和菓子を食べて、深夜に金沢にとんぼ返りだ(笑)。これじゃあ、ヘリコプターが必要だ。2020年版とはいえ、やっぱり、大金持ちの相棒が必要なんだな。

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