サービスエリアの白えび天丼
しろえびと読むのかシラエビと読むのか、実は知らない。生物としては「シラエビ」と読んで、それが加工品になると「白海老」や「白えび」と書く?、つまり読み方が「しろえび」に替わるのかもしれない。今度、地元の人に聞いてみようか。
北陸道の小矢部川SA(下り)が改装オープンしたのは少し前のことで、そのとき面白いフードコートが生まれた。まぁ券売機で食券を買うのはどこも同じだが、変わったメニューがあって楽しい。ここで「白えび亭」の「白えび天丼」が食べられるのも特徴のひとつらしい。
ある日のこと、仕事で「氷見」へ向かう途中、このSAに立ち寄った。この白えび天丼に魅かれたのだが、氷見には、もっと「食べてみたい丼」があるので我慢した。食べたいのは氷見漁港にある「魚市場食堂」というベタな名前の店にある海鮮丼だ。
着いた氷見漁港には誰もいないのだが、食堂がある建物に入り、階段を登ったあたりで驚いた。この食堂には、恐ろしく長い行列がついているのだ。早めに着いたつもりだったが、これでは仕事先との待ち合わせ時刻に間に合いそうにない。列の途中で、やむなく断念することにした。二兎追うものは何とやらで、海鮮丼も白えび天丼も、丼どころか何も食べれないまま仕事するしかなかった。
そして、ちょうど2週間後のこの日も、氷見へ向かう途中にこのSAに立ち寄った。このSAに立ち寄るのは、おもに昼頃なのだが、いつも駐車場がいっぱいで驚かされる。概ねフードコートやコンビニの利用客だと思う。僕の場合は時間合わせのトイレ休憩なので、めったに食事することはない。とはいえ、2週間前の失敗が尾を引いていて「今日こそ丼を食べるんだ」と妙なテンションになっていた。券売機の前に立ちメニューを眺めた。白えび天丼にもそそられたが、空腹なこともあって「富山スペシャル天丼」のボタンを押してしまった。三種の富山名物が天ぷらになって丼に乗っているやつだ(笑)。
その昔、まだ新幹線の工事が始まる前のこと、富山駅舎に「富山ステーションデパート」と呼ばれる古い商業施設があった(金沢にも同じようなやつがあったなぁ)。その2階だったか3階だったかは忘れたが、レストラン街?があって、そこに「白えび亭」があった。そのフロアは何となく薄暗くて、まるで定休日みたいな静けさなのだが、この白えび亭だけには、まるでマンガのように行列が付いていた。特に興味があったわけではないので、入ることはなく、記憶はここで途絶えていた。実は店名すら忘れてしまっていた。
ずいぶん時は流れて、ハナシは東京の繁盛店のことになる。東京駅の地下街(一番街)のラーメンストリート近くに、とてつもない売り上げをあげる「どんぶり屋」が出現したと聞いた。聞けば富山発の店らしい。だから気になっていて、後日見に行ったことがある。それが、「白えび亭」だった。たしかに周囲の店にも行列はあるのだが、この店の列の長さは異常だった。白えび天丼は2000円以上で驚いたし、白えび刺身丼は、たしか4000円ほどしていて、高っかいなぁ、とあきれたものだ。
おなじ頃に新幹線が開業し、富山駅も大変身した。きれいになった駅舎の1階に「とやマルシェ」という商業ゾーンが誕生し、その入り口あたりにどんぶり屋さんがあった。実はこれも「白えび亭」だった。白えび亭は、もはや富山グルメの代名詞で大人気なのだ。どんぶりのサイズは大きくはないのだが、白えびの希少性が人気に火を点けているのだろうか。富山駅のこの店にも、いつも列がついている。
さて、この日のサービスエリアで食べた「富山スペシャル天丼」は、これも「白えび亭」の商品だから面白かった。三種の富山名物(白海老、ほたるいか、ぶり)の天ぷらと、たらの芽、赤カブの天ぷらが乗っている。SAだからと、あなどってはいけない、旨いものは、どこで食べても旨いのだ。厨房を覗くと、それぞれ揚げたてを丼の上に乗せているようだ。ほたるいかの衣は青海苔だろうか、独特の香りがそそられる。空腹の引力もあって、一気にかっこむ天丼は最強の昼飯に思えた。ごちそうさまでした。さて、次回は氷見の海鮮丼のリベンジだな。
白えび屋 shiroebiya.co.jp
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